内実が大きく変わっている大学も

他方で各大学は、さかんに学部を新設し、人気のある学部は募集定員を増やしている。大学の合併もさかんだ。例えば、系列の女子大を新学部として組み入れた名門私立大学もあるし、国公立、私立を問わず大学法人が統合する例もある。

大阪では府立大学と市立大学が統合して公立大阪大学が創設されたが、これなどはかつて入試で選択を迷った競合校が、今は同じ大学名になったという実例だ。他方では、経営難から地方私立大学が公立大学になるということもある。

文部科学省は大学改革を絶え間なく進めているので、一世代前と内実が変わっていない大学などない。そして大学は、大学銘柄を製造販売しているわけではないので、あなたの大卒学歴について責任をもって品質保証してはくれない。

③大学の“銘柄”より“就活力”が重要

では企業の大卒新規採用における有利さはどうだろうか。「よい大学に行くのは、よい仕事に就くため」というのは老若男女を問わず、学歴社会の決まり文句だ。

けれども就活の有利・不利もまた、大学入試の難易度ランキングと直結しているわけではない。人気企業が偏差値上位から順に採用者を選んでいるというわけではないし、一流大学名をエントリーシートに書けば内定はほしいまま、などとは昨今だれも考えない。

リクルートやマイナビというような就職活動をナビゲートする人材企業が、河合塾、東進、ベネッセ、旺文社などの受験産業のボーダーラインを照合して、就職内定の有利さを示しているのもみたことはない。ついでにいえば、私たち大学人がこだわっている「大学における人材育成の質」も、就活に確実に反映されるわけではない。

というのも、就職活動では「就活力」の名のもとに、「学チカ」と通称される学生時代に力を入れたことの逸話のインパクトや、コミュニケーション力が個人単位で見極められるからだ。

日本での就職活動のイメージ
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企業側は、大学名の序列を鵜呑うのみにすることはまずない。さすがにいわゆるFランク大学はエントリーシートの段階で苦戦するというが、例えば慶應けいおうの湘南藤沢、早稲田の所沢、中央の八王子の間に、就活における明らかな有利・不利はないはずだ。

むしろ採用企業側が、大学名で応募者を機械的にふるい分けたりすると、「学歴フィルターを使っている」と就活生側からの非難の対象になる。不思議なことに、ここでは同じ大学新卒は横並びであるはずだ、という理屈が振りかざされる。