「熟年離婚で悠々自適」は幻想だった

「年金分割制度は、厚生年金の部分のみで、国民年金には適用されません。それと、厚生年金については元夫が加入していた40年間ではなく、あなたと婚姻していた期間の5年間のみが適用されます」――。

女性は真っ青になる。それでは、月数万円程度にしかならないからだ。しかも、である。女性はずっとフリーランスで働いていたため、自身の厚生年金はゼロであった。

さらに国民年金についても「こんな制度、私が定年になる頃には破綻しているはず」と、保険料を支払ってこなかったのである。女性は、「夫婦で貯めた貯金や保険」については元夫から半分受け取っていたため、懐には現時点で1000万円程度ある。

しかし、現在住むマンションは家賃8万円で、月20万円の支出があるため、5年程度で底をつく計算となる。悠々自適な暮らしなどかなうはずもなく、女性は今、週5日、介護施設で働いている。そして日々「病気になったら、私はどうなってしまうのだろう?」という不安にさいなまれている。

ストレスを感じている年配の女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

老後一人暮らしに必要な生活費

【破産しないために】

永峰英太郎(監修=司法書士・行政書士、速水陶冶)『人はこんなことで破産してしまうのか!』(三笠書房)
永峰英太郎(監修=司法書士・行政書士、速水陶冶)『人はこんなことで破産してしまうのか!』(三笠書房)

熟年離婚は、今の時代、特に珍しいことではなくなった。本文でも触れたように、「性格・価値観の不一致」「女性の社会進出と経済的自立」などがその要因である。しかしながら、その場の勢いだけで離婚を選んでしまい、のちに後悔するケースも多い。その理由のトップは金銭的な問題だ。

2022年度の「家計調査年報」(総務省)によると、65歳以上の女性単身世帯の1カ月あたりの支出は15万5495円というデータがある。持ち家がなければ20万円以上になるだろう。本当に、それだけのお金を捻出できるのか。自分自身が年々老いていくことも考慮しながら、しっかりと考えて、離婚するか否かを決めることが大切だ。

【ポイント】
・熟年離婚は、安直に決めてはダメ
・月にいくら年金がもらえるのかを計算しておく
・年金分割制度の盲点をしっかり把握せよ!
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