「AIっぽい」「流暢なのに話が入ってこない」。東大出身の一流企業の営業マンは自分の話し方に対する評価が低いことに悩んでいる。アナウンサーで気象予報士の佐藤圭一さんが、かつての就活や仕事の失敗経験の中で培った「きちんと相手に伝わる話し方のコツ」とは――。
プレゼンをするビジネスマン
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上手なのに“感じの悪い”話し方

「嘘くさい」「なんか薄っぺらい」「感じが悪い」

企業の話し方研修で講師をするとき、私はスラスラと流暢に話すビジネスパーソンの動画を見せて、こう聞いてみる。「この人から商品を買いたいですか?」。すると参加者から返ってくるのが、冒頭の言葉だ。

「うまく話せているのに、なぜ?」と思うかもしれない。実はそこに罠がある。私自身もまさに「うまくしゃべろうとするほど伝わらない」罠にはまっていた時代があった。

100社落ち続けた私が、やっと気づいたこと

私はアナウンサーを目指し、全国100社以上の放送局を受け続けた。最終選考まで残ったことも、序盤であっさり落とされたこともある。その中で、不思議な法則に気がついた。

カメラテストや面接で「うまくしゃべれた」と感じた日は、たいてい落ちている。一方で「少し噛んでしまった、情けない」と落ち込んだ日に限って、通過している。

そのことを当時のアナウンス学校の恩師であるベテランアナウンサーに相談した。返ってきた言葉は、意外なものだった。

「自分が『うまくしゃべれた』と満足している時は、たいてい独りよがりになっていて、相手には何も伝わっていないことが多い。少し拙くても、必死に『伝えよう』としている姿の方が、結果的に相手に思いが届き、好感をもたれるんだよ」

そして、こう続けた。

「アナウンサーの技術とは、自分が『うまくしゃべる』ためのものじゃない。相手に『伝える』ためのものだ」

この言葉で私の「ノーミスでうまくしゃべるべき」という価値観ががらりと変わった。

「うまくしゃべること」と「伝わること」は、全く別のことだったのだ。これはビジネスの喋りにも、そのまま当てはまる。「うまく喋ろう」という努力が、気づかないうちに間違った方向へ向かってしまっている人は少なくない。では、どうすればいいか。

まずは自己流の話し方で陥りやすい「2つの罠」を知ることが大切だ。