罠① 助詞が上がると子供の作文朗読
声に出して次のフレーズを読んでみてほしい。
「私は↑御社の↑課題を↑解決します↑」
「は」「の」「を」「に」といったすべての助詞を上げるように読んだとき、どう聞こえるか。そう、小学生が国語の授業で作文を発表している、あの喋りだ。
プレゼンで緊張したときや暗記した原稿をそのまま喋ろうとするとき、無意識に助詞をすべて上げてしまう人が多い。聞き手はそれを敏感に察知し
「あ、用意した文章を読んでいるだけだ」「台本丸暗記だな」
と感じて一気に冷めてしまう。
解決策は、シンプルだ。助詞の音程を、グッと下げる。
「私は↓」「御社の↓」「課題を↓」「解決します↓」
全ての助詞を下げる必要はないが、意識するだけで一気に自然で落ち着いた喋りに聞こえるはずだ。また、助詞に加えて語尾も下げるとさらに大人の喋りに近づく。アナウンサーが自然に聞こえる理由の、かなりの部分がここにある。原稿を暗記して臨むこと自体は悪くない。ただ本番では、「助詞と語尾」を意識して下げてみてほしい。聞き手の受け取り方が、ずいぶん変わるはずだ。
罠② 流暢なのに「鼻につく」原因
流暢なのに、なぜか中身が入ってこない。むしろ、鼻につく。そういう印象を与えてしまう人には、共通の癖がある。文字の羅列を追いながら、なんとなく「上手い人のリズム」を真似しているのだ。「何を伝えるか」が抜け落ちた喋りは、どれだけ流暢でも独りよがりになってしまう。大切なのは、情報を絞ること。そして、絞った言葉を強調して読むことだ。
たとえば次のニュース原稿を読んでみてほしい。
「東京株式市場で日経平均株価が続伸し、終値は前日より500円高い5万8700円となり、史上最高値を更新しました」
これをただ、アナウンサー風に読んでも何が重要なのか伝わらない。
そこで必要な作業は情報を絞るということだ。この文章であれば「日経平均」と「史上最高値」の2語で内容はだいたいわかるだろう。その2語だけに○をつけ、高く、あるいはゆっくり読む。残りは、抑揚を控えめにして流す。これが伝わるメリハリだ。
より深くメリハリを学びたい人には落語をお勧めする。落語の音やリズムの抑揚にはすべて意味がある。実は、落語を学んで一流の喋り手として活躍している人は多い。とあるテレビ番組で、俳優の大泉洋さんや予備校講師の林修さんが対談し、お二人とも喋りの原点には落語があると話していた。
伝えたい言葉を選択し、どうしゃべるか意識する。そのメリハリが、話を「心に刺さるもの」に変えてくれるのだ。

