“9.11”2カ月前、スイスFに異常な買い

10月2日は日経平均が大幅安。米財政問題が主材料で、前日決定の消費増税と経済対策はすでに織り込み済みとされた。(時事通信フォト=写真)

外貨建ての国債の償還資金を調達できずに実際にデフォルトしてきたかつてのロシアのような国々と、自国通貨ドルで国債を発行している米国とでは状況はまったく違っている。前者は外貨の調達手段がないため、資金が尽きればデフォルトは避けられないが、米国の場合は新規に国債を発行すれば資金が調達できる。デフォルトする前に解決手段があるのだ。

筆者が為替取引の現場にいた頃の話だが、9.11同時多発テロが発生する2カ月前のある晩、特段の理由もなしにスイスフランが異常なまでに買い進まれたことがあった。避難通貨として選好されるスイスフランが買われることは、危機を予感させるには十分である。相対取引で最も激しく売られた通貨は米ドルであった。このプライスアクションから、米国発の危機が迫っている可能性を見出すことができた。

今回の米債務問題も、あくまで政治的な駆け引きに利用されているだけということは、日本のデフォルト報道が過熱した10月第1週の株価の動きからも明らかであった。9月27日から10月4日までの日経平均株価は4.98%下落したのに対して、NYダウの下落率は1.22%に過ぎない。この間盛んに日経平均株価の下落は米デフォルト懸念によると喧伝されていたが、米国発の理由であれば米国株式の下落率のほうが大きくなければ辻褄が合わない。さしずめ、消費税増税決定による日本株下落をカムフラージュするつもりだったのだろうか。世論を誘導することはできても、プライスアクションをごまかすことはできない。

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