欧州系格付け会社であるフィッチが5月22日、日本国債の格付けを9年ぶりに一段階引き下げ、「A+」にした。これで日本国債の格付けは、イスラエル、エストニアと同水準、韓国や中国、チリ、サウジアラビアよりも格下になった。

日本がバブル経済に踊っていた1980年代、日本国債は「AAA」という最上級格付けを取得していたが、バブル崩壊後、長期化した景気低迷とデフレ、税収不足によって財政赤字が積み上がった。目下、財政赤字の対GDP比は、ギリシャよりも高く、先進国中最悪の水準にある。本来、国債の格付けが下がれば、その分国の財政破綻リスクが高まるのだから、国債は売られ、長期金利が上昇して、円安が進むはずである。

【関連記事】
国債、EFSF債格下げ……欧州危機は本当に終わるのか
ギリシャのユーロ離脱が引き起こす最悪シナリオ
ユーロ発金融恐慌へ? 円が「隠れ基軸通貨」化した理由
金融商品の「利率」と「利回り」では何が違うか
劇的な景気回復には心理経済学しかない