「欧州債務危機の次は、日本国債が暴落する」といった憶測をまことしやかに流す人がいる。確かに、日本の債務残高を対GDP比で見ると、先進国の中でも突出して高い。日本国債の暴落に備え、金や不動産、外貨投資などに資金を移動させようとする人がいるが、はたして今、この手の投資行動を取ることが正しいのだろうか。

日本の財政赤字がさらに深刻化し、経常収支が赤字になるような状況になり、債務危機に陥る恐れが高まってくると、まず金利が上昇する。金利を引き上げなければ資金調達できなくなるからだ。そして通貨が信用を失い円安が進むだろう。同時にインフレにもなるはずだ。

しかしこういった状況は、一夜にして起こるわけではない。変化は徐々に起こっていくものだが、現在の長期金利の水準は約0.8%と極めて低く、為替も円高、そして物価は相変わらずのデフレ状態が続いている。国債の信用リスクを示すCDSのスプレッドも1%前後。マーケットを素直に見る限り、日本国債がすぐに危機的状況に陥るような状態とはとても思えない。

では仮に長期金利が現在の0.8%から3%程度まで上昇したとする。この程度なら、政府が目指す経済成長と物価上昇が実現すれば起こりうる。そうすると10年国債で2割程度、価格は下落するだろうから「暴落」といってもいいだろう。

しかし、現在のようなデフレの状態で長期金利が3%まで上昇したら、恐らく多くの機関投資家は、喜んで日本国債を買いにくるだろう。インフレにも好景気にもならずに国債の価格が大暴落するというシナリオは、なかなかイメージしにくい。

それでも「国債暴落に備えたい」という人は、「個人向け国債」を購入してはどうだろう。国債暴落に対する備えが、個人向け国債というのも妙な話だが、案外、この手が有効かもしれないと思う。

個人向け国債の「変動金利10年物」であれば、「国債価格下落=金利上昇」だから、国債価格が下がると金利収入が増えていく。この金利とは10年国債の利回りに0.66を掛けたものだから、この低金利の時代、現時点で定期預金などに比べてもかなり有利である。