外債ファンドは、海外で発行された債券(外国債券)に投資するファンドだ。債券とは国や地方公共団体、事業会社などが資金調達のために発行する「借用証書(有価証券)」のこと。返済期日(償還期日)や金利(利率)を決めて発行され、購入後は定期的に利子が支払われ、発行体が破綻しなければ満期には額面金額が返済される。外債の場合、ゼロ金利が続く日本の債券に比べると、国によっては高い利回りが期待できるという魅力もある。
その半面、為替リスクを伴うことから、日本の債券に投資するよりリスクは大きくなる。ファンドの場合には、それが基準価額の変動幅に表れる。事実、急激な円高の進行によって、数年前に外債ファンドを購入した人の多くが、為替差損を被っている。アメリカ政府が2015年まで低金利政策を続けるとしていることを考えても、当面は円高傾向が続くと考えられる。そこで円高が続く間は、為替リスクを被らずに済むよう、「為替ヘッジ付きの外債ファンド」を選び、債券の信用リスクだけを取って高めの収益を確保したい。
為替ヘッジとは、為替リスクを回避(ヘッジ)する手段のこと。一般的には「為替予約」という方法で行われる。これは外債を購入する段階で、1年後なら1年後に外債を売却する際の為替レートを、購入時と同じ水準にする約束をし、為替リスクを取り除く仕組みだ。ただし、売却時には投資先国と日本の短期金利の差の分だけ割高なレートで円を買い戻すことになる。つまり、短期金利の差が為替予約のコストとしてかかるのだ。そのため、海外の国債など安定した資産に為替ヘッジをして投資すると、日本の国債に投資した場合と同程度の運用益しか得られないことになる。
12年9月末現在、日米の短期金利差はほぼゼロ。つまり、米ドルに対しては為替ヘッジコストもほぼゼロだ。日米欧では低金利が続くが、新興国債券はまだまだ高金利。そこで、米ドル建ての新興国債券ファンドに投資をして為替ヘッジを行えば、相対的に高い利回りを丸ごと享受できることになる。一例をあげると、「野村インデックスファンド・新興国債券・為替ヘッジ型」がこれに該当する。販売手数料は無料で、信託報酬が0.63%と低いうえ1万円から購入できる手軽さも魅力だ。ただし、元本保証商品ではないことは頭に入れておきたい。