かつて大きなブームを巻き起こした毎月分配型ファンド。しかし、この手のファンドの多くは外国債券に投資しており、円高の今、多額の含み損を抱える人も多いはずだ。毎月安定した分配金が受け取れることが魅力だったが、分配金は運用利益を反映したものではないため、元本に相当する基準価額が下がれば原資を切り崩すことになり、損失も大きくなる。

たとえば信用度が高い先進国債券を中心に、国際投信投資顧問が設定・運用する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」の場合、リーマンショック前のピーク時における基準価額が7697円(2008年8月8日)。これに対して12年2月20日時点の基準価額は4934円だから、約35%のマイナスになっている。

この間、同ファンドを保有することによって得られた分配金の累計額は1460円。それを加えれば、2月20日時点の基準価額は6394円になるため、マイナス幅は16.92%まで縮小するが、どちらにせよ二ケタのマイナスを持っていることに変わりはない。

留意すべきポイントは、市況変化と、今後の分配方針だ。市況で注目されるのは、目下進んでいる円安トレンドだろう。目先、ユーロ問題が山場を越えたこと、日銀がインフレターゲット的な金融政策に転じたことなどを受け、円は米ドル、ユーロ、その他資源国通貨に対して、下落基調にある。外債に対して為替ヘッジをかけていない場合は、円安を享受して、基準価額の上昇余地が高まる。

一方で、金利上昇に対する懸念は残る。外債を組み入れた毎月分配型ファンドのデュレーション(債券の元本と利子の回収期間。金利変動による債券価格の変動の指標にもなる)は7年前後。金利が1%上昇すれば基準価額が7%下がることになる。