運用成績によって将来もらえる年金額が決まる確定拠出年金(日本版401k)は、2001年から多くの企業が導入した。が、昨年末、加入者の約6割が元本割れとなっている(格付投資情報センターの調査より)と報道された。世界的な株式相場低迷で元本が減り、不安になっている方も多いのではないだろうか。

しかし、元本がいくらだったかを考えることに意味はない。もし100万円が90万円に減ってしまったとしても、それをどう取り戻すかということではなく、まずは今ある90万円をどう運用するかを考えたほうがいい。すでに起きてしまったことに対して意思決定はできないからだ。

「将来大切な年金だから」といった特別な見方で401kを運用するのではなく、あくまで自分の金融資産の一部ととらえることだ。そして、自分の資産全体で預貯金や株式などの割合を決め、その中から何を401kに割り当てるかを考える。

たとえば、手持ち資金500万円のほかに401kの積立金が100万円あるなら、合計600万円という枠の中でどのように資産を配分するかを考える。もし400万円を安全資産である預貯金にし、200万円を株式に投資したいと思うのであれば、次に考えるべきは401kの部分を預貯金にするか株式にするかという選択肢である。

そもそも401kの最大のメリットは「節税できる貯蓄」である点だ。まず、積み立てるときに税金がかからない。振り込まれた給料から貯蓄する場合は、すでに元本から20%、30%といった所得税を引かれているが、401kは所得税を引かれる前に積み立てるから元本には税金がかかっていない。このアドバンテージを加味すれば、元本割れしていても、損失額は意外に少ないと考えられる。

401kの節税メリットにはもう一つ、運用益が非課税になる点がある。資産のうちどれを401kに割り当てるかは、ここから考えるといい。運用益が非課税になるなら、リターンが多いものを割り当てたほうが得だ。もし株式の運用益が多いと思うなら401kに割り当てるといい。先に挙げた例で金融資産600万円のうち200万円を株式で運用したいのなら、401kの100万円は株式投信で運用するという選択になる。