しかし、現状、世界は金融緩和の方向に進んでいる。例えば米国は14年後半までゼロ金利政策を維持することを発表。中国も金融緩和に転じた。米ドル債中心に組み入れているファンドなら、当面、金利上昇にともなう債券の価格下落リスクを心配する必要はない。

唯一懸念されるのは、ユーロ建て債券を組み入れている場合だが、これも昨年12月21日に欧州中央銀行が欧州各国の銀行に4891億ユーロの資金供給オペを実施したことから流動性リスクが低下。以来、急騰していた南欧諸国の国債利回りも落ち着きを取り戻してきた。この手のリスクが高まった債券は多くのファンドでほぼポートフォリオから外されているので、ユーロ安が進まない限り、ファンドの基準価額を下げる要素にはならない。

こうした現況から考えると、含み損の規模にもよるが、当面、毎月分配型ファンドについては、様子見の姿勢でよいだろう。円安による基準価額の上昇と、定期的に受け取れる分配金でもって、自分の買値まで戻るのを待つという戦略だ。

ただし、最近、「13年以降、分配金の支払いルールが見直される」という報道があった。もしそうなった場合は再検討する必要がある。仮に分配原資が運用益限定となれば、今のような安定分配が期待しにくくなるからだ。

毎月分配型ファンドのホルダーの多くは、安定した分配金額に魅力を感じている。その魅力がなくなった場合、保有し続ける合理的な理由が見当たらなくなる。もちろん保有し続けてもよいが、恐らく分配金額はその時々の運用環境によって上下することになるだろう。そうなったときに魅力を感じないと思うなら、基準価額が買値まで戻った時点で解約したほうがよい。

日本証券投資顧問業協会は、ルール見直し報道について「ある種の誤報」とコメントしているが、やはりこの要素もフォローしておく必要があるだろう。