また、個人向け国債は保有期間1年を過ぎると過去2回分の金利を払えば、元本で買い取ってもらえるのが特徴だ。国債暴落とは長期金利の上昇ということだから、個人向け国債を換金して利回りが高くなった国債を買い直したり、こちらも高金利になっているはずの定期預金に預けることができる。

国債が暴落すれば、国債を大量保有している銀行の信用リスクが高まり、最悪の場合、経営破綻に陥るところも出てくるかもしれない(日銀はどうやらこれを心配しているらしい)。破綻した銀行に預金をしていた場合、預金保険機構によって守られる額は元本1000万円とその利息が上限。それを超える額を預金していた人はいわゆるペイオフ・リスクを背負うことになる。その点、個人向け国債ならペイオフとは無縁である。つまり、銀行預金よりも安全に多額のお金を運用できる。

もちろん、日本政府が機能そのものを停止してしまうような究極の事態が発生したら、個人向け国債も紙くず同然となる。が、その可能性は現段階では極めて低い。

外国の通貨や株式、商品市場などに投資すべきだという人もいるが、いずれもかなり大きな価格変動リスクを伴う。リスクを取って運用したい人にはいいが、リスクを嫌う人にははっきり不向きだ。インフレにも円安にもなっていない段階で、すぐにこの手の資産に資金を大きくシフトさせるほうが疑問だ。リスクのある商品は売り手の手数料が大きく、慌てて買うのは業者の手に乗せられることだ。「備えすぎ」にも注意したい。

(構成=鈴木雅光)
【関連記事】
なぜ日本国債は、格下げで金利が下がるのか
PBR1倍割れ時代、どの指標が有効か
ギリシャのユーロ離脱が引き起こす最悪シナリオ
もはや末期的!日本を蝕む「リスク放置」症候群
土俵際の日本経済“最高シナリオ、最悪シナリオ”【1】