研究開発費を投資したのに中国勢に負けたワケ

2022年以降、売上が崩れていくとともに、営業赤字に陥っている。アイロボットが営業赤字を続ける一方、中国2社では営業利益が出ているが、売上営業利益率はロボロックの過去6年平均20%に対して、エコバックスは10%と差がついている。

児玉万里子『1300社の信用格付けをした私の決算書を読む技術』(日本経済新聞出版)
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3社では研究開発費の差異が大きい。アイロボットの研究開発費は2023年までは中国勢を上回っていた。業績が悪化した2024年にはさすがに研究開発費を大きく減らしている。

売上に対する比率はアイロボットの12%前後に対して、ロボロックは7%、エコバックスは5%程度にとどまっている。アイロボットでは多額の研究開発費を投じてきたにもかかわらず、シェアを失い、営業利益が出なくなった。これは、研究開発が売れる商品の開発につながっていなかったということだろうか。

アイロボットは、スマートホーム時代の戦略的プレーヤーをめざすという目標を掲げてきた。掃除ロボット「ルンバ」はそのための布石だったのだ。

破産まで追い詰められたアイロボット

ネットにつながる「ルンバ」を家庭内にさらに普及させ、位置情報や空間情報などの認識技術の改善を図り、家庭内の機器をネットワークでつないで一括管理する技術を深めることに注力していた。

ルンバの機能改善、魅力的な新製品の開発といった点が停滞している間に、中国企業が低価格を武器に追い抜き、その後は機能を磨きつつあるというのが今の状況だ。

アイロボットの2025年1月~6月の業績はさらに追い詰められている。売上は前年同期から28%減少し、営業赤字が増大した。最終的な純損失も膨らんでいる。2024年末時点では純資産の減少は続いていたが、有利子負債残高の3分の1相当額ほどは残っていた。

しかし、2025年6月末には債務超過(純資産がマイナス値の状態)に陥っている。今後負債の借り換えを進め、事業を継続していけるかどうか、問われている状態だ。(その後、アイロボットは2025年12月に米連邦破産法第11条を申請したと発表している)

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