100円で利益を出す「仕組み」の正体

100円の売上から営業利益を確保するために、セリアは①魅力ある商品開発、②直営店による戦略的出店政策、③オペレーションの効率化を図ってきた。

店舗運営では、フランチャイズ店(FC店)はこの10年で半減させており、2025年3月期末は直営店2037店に対してFC店は35店に過ぎない。直営のメリットは商品管理に目が行き届くことだろう。最大手の大創産業ではFC店が全体の4分の1を占めているのとは対照的だ。

同社は2004年に直営店全店にリアルタイムPOSシステムを導入し、個別商品の販売状況を本社が即時に把握できる体制を敷いた。また、2006年には、発注支援システムを導入、端末を直営店全店に配備し、店舗スタッフが即座に最適な発注ができる形を整えている。

スタッフ個人の経験や勘に頼らず、販売データの分析をもとに店舗ごとの発注数量が決められる。セリアは、パートなどの臨時雇用者数に比べて正社員数が少ないのが特色だが、システムが整備されていることがその理由のひとつだろう。

商品管理体制のひとつとして在庫管理を見てみよう。2010年前後には在庫の回転が高まり(余分な在庫を持たないようになり)、ムダがなくなっている。在庫月数(何カ月分の商品を在庫として保有しているか)は、2013年まで減少し、その後、在庫は約2カ月分で管理されている。これも利益率向上に役立っているはずだ。

良品計画とも遜色ない売上効率の良さ

改めて最近10年間のセリアの利益の出方を見てみると、その前の10年間に比べるとやや改善している。売上と利益率を内外の同業大手、そして大手小売チェーンであるニトリHD(家具・インテリア用品)、良品計画(雑貨・衣類)、DCMHD(ホームセンター)と比べてみよう。

児玉万里子『1300社の信用格付けをした私の決算書を読む技術』(日本経済新聞出版)
児玉万里子『1300社の信用格付けをした私の決算書を読む技術』(日本経済新聞出版)

セリアの売上は突出して大きいわけではないが、売上成長率は国内同業のなかでは最も高く、ニトリHDや良品計画に次ぐ高い成長を示している。粗利率は同業のキャンドゥやワッツより高いが、売上規模が大きいニトリHDや良品計画には及ばない。

しかし、売上営業利益率は、同業よりはかなり高く、ニトリHDは別格としても良品計画やDCMHDに比べて遜色はない。

米国のダラーストア(1ドルショップ)最大手のダラー・ゼネラルに比べると、売上規模はかなり違うが、売上成長率はほぼ同程度であり、直近決算の粗利率や売上営業利益率はセリアのほうが高い。

セリアは販売価格が100円と決まっており、原価の低減には限度があることを考えると粗利率を大きく上昇させることは難しい。しかし、販売オペレーションの効率化によって販売管理費を抑えており、これによって売上営業利益率を維持する戦略がいまのところ成果をあげている。

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