激化する競合店舗とのシェア争い

顧客にとっては、値段を確認しなくても買い物ができるという安心感は大きい。重要なのは価格設定を競うことではなく、商品の魅力と品質の高さ、そして品揃えの豊富さだ。100円ショップの国内市場規模は1兆円に近づいており、飽和状態に向かいつつある。そうしたなかで、同業他社は100円という枠を超えて300円あるいは500円などの商品に進出し始めている。

しかし、セリアはいまのところ100円にこだわり、100円商品に特化する姿勢だ。ただ、中国他アジアの人件費の高騰と円安は100円で売ることができる商品を減らしがちなのも確かだ。一方、300円あるいは500円の商品への進出は、ドラッグストアなどとの競争が避けられない。

100円ショップ同士の競争も激しくなっているため、100円の商品の小幅な値上げ、たとえば120円あるいは150円への値上げもしにくい状況だ。セリアの売上は2000年以来増加を続けている。この間、成長率はやや低下している。

コロナ禍においては、セリアは生活必需品の販売業として営業自粛の対象にはならず巣ごもり需要に対応できたが、大型商業施設内に出店している店舗は自粛対象となり、影響を受けた。

ダイソーとは違う「セリア流」の生き残り術

たびたび触れてきたが小売チェーンの運営会社の売上増加策は、①既存店(12カ月継続して営業した店舗)売上を増やすこと。②新店を開店すること、③買収により店舗網を拡大することである。セリアでは、既存店売上が低迷しており、店舗網の増加も頭打ちになりつつあり、他社の買収はしていない。

しかし、セリアの粗利益(売上-仕入原価)は過去20年間に増加を続け、粗利率(粗利益÷売上)も上昇傾向をたどってきた。

100円で商品を提供するなかで、どうやって利益を確保してきたのだろうか。これには、売上規模の拡大が貢献している。セリアでは2011年に店舗数が1000店を超え、2014年に売上が1000億円を上回った。事業規模が拡大することによって同一商品の注文点数が増え、仕入れコスト削減のメリットをとれるようになっている。

売上規模がまだ小さい同業第3位および第4位の企業は粗利率もセリアより低い水準にとどまっている。利益率の低い菓子食品の売上を減らしたことも、利益率向上に寄与したようだ。ただ、2023年~2025年3月期は円安や原材料価格の上昇の影響で粗利率はやや低下している。そのため、売上営業利益率もいくらか下がっている。