車で道路を走っていると、渋滞や信号は避けて通れない存在だ。『交通トラブル六法』(KADOKAWA)を書いた弁護士の藤吉修崇さんが、道路をめぐる2つの謎について解説する――。(第2回)

※本稿は、藤吉修崇『交通トラブル六法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

渋滞が起きる場所、最多は「谷」

車を運転していて「なんでこんなところで渋滞してるの?」「個人レベルで渋滞を解消する方法はあるの?」「先進技術で渋滞を解消することはできないの?」と思ったことはありませんか。

本稿では、車を運転していると遭遇する謎をご紹介します。

実は渋滞って、事故や工事がなくても「勝手に発生」してしまう不思議な現象なんです。しかも、その原因は意外なところにあることが多いんです。

今回は渋滞の謎に科学的に迫ってみましょう。「えっ、そんな理由で?」と驚くようなメカニズムが隠されています。渋滞の真実を知れば、運転中のイライラも少し和らぐかもしれませんよ!

渋滞は単に「車が多いから起こる」わけではありません。実は明確な科学的メカニズムがあるんです。

渋滞は「流体力学」という物理学で説明できます。車を水の流れに例えると、川幅が狭くなったり障害物があると水流が乱れますよね。道路でも同じことが起こっているんです。

日本で最も多いのが「サグ部渋滞」です。サグ部とは下り坂から上り坂に変わる谷のような地形のことで、東名高速「大和トンネル付近」、名神高速「一宮IC付近」、中央道「小仏トンネル付近」などが代表例です。ドライバーは緩やかな上り坂に気づかず、無意識にスピードが落ちます。たった時速5kmの減速でも、後続車に「ブレーキの波」が伝わり、数km先まで渋滞が発生するんです。

中央自動車道小仏トンネル上り線
中央自動車道小仏トンネル上り線(画像=Rsa/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

渋滞を引き起こす原因4つ

渋滞を引き起こす意外な原因を整理してみましょう。

まず車間距離不足です。前車がわずかに減速するだけで急ブレーキが必要となり、この「ブレーキの波」が後方に伝わって渋滞を生みます。さらに頻繁な車線変更も問題で、割り込みのたびに後続車が減速し、全体の流れを乱します。

事故や工事現場をのぞき込む「野次馬運転」も渋滞を悪化させる典型例です。料金所付近はETC普及後も車線合流で必ず流れが悪化しますし、同じ時間帯に車が集中する心理的要因やカーナビによるルート集中も見逃せません。

個人的に気になるのはオービス付近の渋滞です。制限速度を守っていれば問題ないのですが、ドライバーが反射的に急ブレーキを踏んでしまい、結果的に「ブレーキの波」が広がります。

また、トラックが追い越し車線を長く走ることも一因で、リミッターの影響で追い越しに時間がかかり、後方に渋滞ができてしまうのです。