外からも内からも通信手段を絶たれる

実はロシア兵たちは、スターリンクを失っただけではなく、アプリのレベルでも通信手段を失おうとしている。ブルームバーグによると、ロシアの通信規制当局ロスコムナゾールは2月10日、Telegramが国内データ法に違反したとして新たな制限を課した。

戦場で日常的にこのアプリを使ってきた兵士らは、激しく反発している。ロシア軍事特派員のアレクサンドル・スラドコフ氏は、「指揮統制能力を葬るようなものだ。通信は武器以上のものであり、部隊指揮の基盤だ」と批判した。

ロシア軍は外からも内からも、通信手段を絶たれつつある。

もっとも、遮断措置はウクライナ側にも副作用を及ぼした。未登録の端末が一斉に停止し、何千人ものウクライナ兵が一時的に通信を失ったと、BBCロシア語サービスが伝えている。

前線で対戦車ミサイル小隊を率いる元国会議員テティアナ・チョルノヴォル氏は、「私の2つの戦闘陣地が通信を失った」と同局に語った。ただし、登録済みの端末は正常に稼働しており、CNNの取材に応じたドローン操縦士は、「すぐに登録したら問題なく機能している」と話す。フェドロフ国防相によれば、ホワイトリストへの登録は急速に進んでおり、ウクライナ軍への影響は一時的なものにとどまる見通しだ。

調理兵までが歩兵となって突撃

一方、これまでも損耗の激しかったロシア軍は、通信障害でさらに追い込まれている。

ブルームバーグが伝えた西側の分析によれば、ロシアは新兵補充を上回るペースで兵力を失い続けている。ウクライナ側の発表では、ロシア兵の戦死者は2025年12月に3万5000人、翌1月にも3万人に上り、月平均約2万5000人だった2025年から急増した。西側当局者によれば、今年1月だけで補充を約9000人上回る兵力を失ったという。

前線での出血も止まらない。イギリスのジョン・ヒーリー国防相は2月16日のインタビューで、一部地域ではウクライナ兵1人に対し、ロシア側が6人から25人を失っていると明らかにした。キーウ・ポストが報じた傍受通話では、生存に必要な基本物資すら届かず補給中に命を落とす兵士や、調理兵までが歩兵となり突撃役を命じられる実態があると、兵士たち自身が訴えている。

ロシアによるウクライナ侵攻中に両軍の戦線が接した後、ノヴォアイダルでロシア連邦軍とルガンスク人民共和国軍の部隊が合流した
ロシアによるウクライナ侵攻中に両軍の戦線が接した後、ノヴォアイダルでロシア連邦軍とルガンスク人民共和国軍の部隊が合流した(写真=Mil.ru/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons