誰が動揺しているかを見せる

この男こそ、イスカリオテのユダ。数時間後、彼はイエスに接吻をして、敵対者に「この人だ」と教える。その裏切りの報酬が、今まさに彼の手の中にある。

ムンクは何を叫んでいるのか?
井上響『ムンクは何を叫んでいるのか?』(サンマーク出版)

ダ・ヴィンチが全員を横一列に配置したのは、この瞬間を観客に「目撃」させるためだった。

まるで舞台のように、13人全員の表情と仕草が一度に見える。誰が動揺し、誰が怒り、誰が恐れているか。そして、誰が裏切り者か。

中央のイエスだけが、静かに運命を受け入れている。

彼は知っていた。自分がこれから十字架にかけられることも、それが人類の救済のために必要なことも。

『最後の晩餐』という題名の意味がここにある。これは単なる最後の食事ではない。信頼が崩壊し、運命が動き出す、まさに「最後」の瞬間なのだ。

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