クリントン「11.41」、オバマ「11.63」…
調査では、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプという4人の大統領を対象に、それぞれ3つのインタビューを選びました。
選定条件は(1)信頼性の高い記者によるもの、(2)大統領の価値観や考え方を問う質問が含まれていること、(3)就任1年以内、あるいは最も早期のインタビューであること、の3点です。
また比較のために、「ニューヨーク・タイムズ」や「ガーディアン」「ワシントン・ポスト」「ウォール・ストリート・ジャーナル」といった代表的な新聞記事11本の思考の複雑性(言い換えると「新聞記事の言語レベル」)も評価しました。
結果として、これらの新聞記事の平均スコアは12段階中の「11.24」となり、これは「初期のシステム思考」レベルに相当します(初期のシステム思考とは、複数の視点や要因の関係性を捉えながら、全体として物事を理解しようとする思考の入り口です。複雑な問題に対して単一の原因ではなく、相互作用や因果関係を意識し始める段階となります)。
レクティカの研究者たちは、大統領たちのスコアもこの辺りのレベルにあるのではないかと仮定していました。しかし、実際の結果には大きなばらつきがありました。
トランプは他大統領よりかなり低いスコア
ドナルド・トランプ大統領の平均スコアは「10.54」で、これはアメリカの高校3年生(12年生)の平均的なレベルに相当します。ジョージ・W・ブッシュ大統領は「11.7」で、大企業の中間管理職クラスに相当します。ビル・クリントン大統領は「11.41」で、上級管理職レベルに相当し、バラク・オバマ大統領は「11.63」で、シニアリーダーやときにはCEOクラスに匹敵するレベルの思考を示したと評価されています。
オバマ大統領に関しては、インタビューによって複雑性に変動が見られ、後半のインタビューではわざとわかりやすく、シンプルな表現を使っている傾向も確認されました。
ドーソンは、こうした結果から「大統領の思考レベルは一貫して高いとはかぎらず、またそれぞれに大きな差がある」ことを指摘しています。
特にトランプ大統領は、他の大統領と比較してかなり低いスコアを示しており、複雑な問題の構造や背景を理解する力に疑問がある可能性があるとドーソンは述べています。
また、思考の複雑性と職務上の課題との間には「ギャップ」が存在していることも重要な示唆です。先述のように、国家レベルの課題は原理・原則的思考(レベル12)を要するものばかりですが、実際のリーダーたちの思考はそこに届いていない場合が多いのです。
オバマ大統領でさえそのレベルには達しておらず、ブッシュ大統領とクリントン大統領はビジネスリーダー並み、トランプ大統領は国家指導者としては非常に低いレベルだったとされています。
