野村克也の長時間講義を“拒否”

ただ『はいはい』と聞くだけじゃなくて、
わからないことは
どんどん質問しようと考えた。
うっとうしいと思われてもかまわない

わいたこら。 人生を超ポジティブに生きる僕の方法

人生には「良き師」が必要だと言われています。「自分はこうなりたい」というロールモデルでもいいし、「この人からたくさんのことを学びたい」と思うような師に出会えたなら、それだけで人生は豊かなものになります。

新庄剛志にとって野村克也はたくさんのことを学びたいと思えた師であり、野村が亡くなるまで付き合い続けた大先輩でもありました。

選手としては三冠王を獲得したほどの名選手であり、野村スコープを駆使した解説で人気を博した名解説者であり、ヤクルトスワローズを4度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた名監督でもあった野村が阪神タイガースの監督に就任したのは1999年、新庄が入団10年目のことでした。

野村は「ID野球」を駆使する監督であるのに対し、センスとひらめき重視の選手と見られていた新庄は「相性が悪いのでは」と思われがちですが、新庄自身は「僕は野村監督が好きだった」と明言しています。

野村が選手に長時間の講義をしたところ、新庄は「いっぺんに言われるとわからなくなるので、また今度にしてください」と発言しています。2時間、3時間の長い話ではなく、学校の授業時間くらいにしてほしいという提案でした。普通に考えれば、監督への反発であり、新庄の我儘とも思えますが、新庄自身は、「何回も話すチャンスをつくれば、いろんなことが聞けるのでは」と考えていたのです。

内野守備走塁コーチの谷内亮太と監督の新庄剛志(2023年、日ハム秋季キャンプ)
内野守備走塁コーチの谷内亮太と監督の新庄剛志(2023年、日ハム秋季キャンプ)(写真=山村みきお/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

野村克也が新庄をかわいがったワケ

長時間の講義だと一方的になりがちですが、30分、40分くらいの講義を何回かに分ければ、質問を含めて、より密に野村の考え方を知ることができて、自分ももっともっとレベルアップできる。それが新庄の思いでした。

桑原晃弥『常識を超えて結果をだす 新庄剛志の名言』(ぱる出版)
桑原晃弥『常識を超えて結果をだす 新庄剛志の名言』(ぱる出版)

野村は新庄を「宇宙人」と呼んでいましたが、そこには普通とは違う考え方をする新庄への愛情も込められていたようです。当時、新庄は野村から「なんかいい服ないか?」と聞かれ、自分が好きだったヴェルサーチを勧め、以来、野村も着るようになります。

2021年、野村を偲ぶ会に新庄はヴェルサーチのジャケットとセーターを着ていきますが、それは野村の形見分けだったというところに、両者の関係がよく表れています。良き師と出会えるチャンスは滅多にありません。運良く良き師に出会えたなら、謙虚に教えを請い、たくさんのことを吸収することで人は大きく成長できます。

●ワンポイント 良き師に出会えたならとことん学び、吸収しよう。

参考文献
わいたこら。 人生を超ポジティブに生きる僕の方法』新庄剛志著、学研プラス
スリルライフ 天才ではないが、天然でもない』新庄剛志著、マガジンハウス

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