※本稿は、清水栄司『「いつも不安で頭がいっぱい」がなくなる本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
舌がんのニュースを見て不安になる人
不安と上手に付き合うための第一歩は、自分の思考や行動のくせからくる悪循環を知ることです。自分が抱えている不安の悪循環を見える化し、それを断ち切るための方法についてお伝えします。
認知行動療法では、いろいろな方法を通じて患者さんの考え方のくせを明らかにします。そのうちの1つに「『認知(思考)』『行動』『感情』の3要素を図に書き出す認知行動モデル」というものがあります。
方法はとても簡単です。図表1のように、自分に起きた「できごと」(特に、不安な感情を引き起こすストレスフルなできごと)を書き、それに対する「認知(思考)」「行動」「感情」の3要素をそれぞれ書いていきます。
まずは、強い不安を感じるきっかけとなった「できごと」を書いてみましょう。できごとは、外部からの刺激(ストレッサー)とも言えます。例として、「有名人のAさんが舌がんになったというニュースを見た」というできごとを書きます。
ポイントは、できごとの欄には、客観的な事実を書き、自分の考えをここに書かないようにすることです。「有名人のAさんが舌がんになったというニュースを見た」は事実ですが、「自分が舌がんになる」は、自分の考えなので、客観的な事実とはいえません。
事実と思考が区別できていない
強い不安を感じているときに、人間は、「認知的フュージョン」といって、「認知(思考)」と客観的事実(現実)を区別できず、融合(フュージョン)させてしまう傾向があることが知られています。
この認知的フュージョンから抜け出すための技法を「脱フュージョン」といいます。脱フュージョンでは、まず自分が認知的フュージョンにおちいってしまっていることに気づき、できごとはできごと、認知(思考)は認知というように、事実ベースのできごとと自分の考えを区別するようにします。
つまり、頭に浮かんでいるものが客観的な事実(できごと)なのか、自分の思考に過ぎないのか客観的に観察、識別し、混同しないようにする習慣づけのことです。次に、そのできごとについて浮かんだ「認知(思考)」を書きます。
「自分も舌がんになる」
このように、事実に対して頭に浮かんだ考え(認知)を書きます。そして「行動」を書きます。例えば、次のようなものがあるでしょう。
「ネットで舌がんについて検索し続けた」
「鏡で自分の舌を確認したり、触ったりし続けた」
「家族に自分の舌を見てもらって、どう見えるか確認した」
最後の「感情」には、「不安」と書きましょう。


