ハイチ人の名誉は失われたまま

さらに、スプリングフィールド市の公聴会の動画もXで拡散した。公聴会の動画の中で、自称インフルエンサーのアンソニー・ハリスがまくしたてる。「なんとかしろよ。ハイチ人はゴミを散らかし、車をひっくり返してる。公園でアヒルの首を捕まえ、頭を切り落として食べている」現地警察は、ハイチ人が家の不法占拠やゴミを積み上げるなどの不法行為や意図的な交通規則の無視をしている事例はない、と否定している。

また、野鳥の捕獲については、警察に通報があったが、確認できなかったという。

地図にピン留めされたハイチの国旗
写真=iStock.com/MarkRubens
※写真はイメージです

後に、この自称インフルエンサーは泣きそうな顔で「俺は犬猫については一言も言っていない。(アヒルについては)噂があるから調べてほしかっただけだ」と釈明した。彼には市長選に出馬しようとしている、という噂があった。公聴会で演説をして、目立ちたかったのかもしれない。

正直、ここまで汚い選挙戦になるとは思わなかった。

國枝すみれ『アメリカ 崩壊の地をゆく』(毎日新聞出版)
國枝すみれ『アメリカ 崩壊の地をゆく』(毎日新聞出版)

バンスはCNNテレビに「アメリカ人の苦しみにメディアの注目を集めるために話をつくりあげる必要があるなら、そうする」と話した。「話をつくりあげた、と言いましたか?」鋭く反応した記者がすかさず確認すると、「メディアの耳目を集める状況をつくりあげた、という意味だ」と言い訳した。

トランプの犬猫発言の直後から、スプリングフィールドには爆破予告が相次ぎ、市役所や病院、学校が閉鎖された。ハイチ人は町を去り始めた。

トランプもバンスも、いまだに発言を撤回していない。ハイチ人に謝罪もしていない。

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