万が一、地下鉄火災に居合わせたら…
地上を走る鉄道では火災が直ちに重大事故に至るわけではないが、手荷物を検査できないので危険物が持ち込まれる可能性を排除できない。
実際、東海道新幹線では2015年、男性が車内にガソリンを持ち込んで焼身自殺を図り、巻き添えになった女性1人が死亡する事件が起きている。密閉した車内や地下空間の火災リスクは無視できない。
もしあなたが駅で火災に遭遇したら、ハンカチなどで口や鼻を覆って姿勢を低く保ち、一酸化炭素や有毒ガスを吸わないようにするのが重要だ。地下駅には排煙設備や非常用発電機が整備されているので、すぐに避難できなくなるような事態にはならない。まずは落ち着いて係員の誘導に従おう。
列車内で火災が発生した時の正しい行動
ただし、本稿で指摘したように必ずしも適切な誘導があるとは限らない。火が見えなくても、危険だと判断したら現場から離れよう。ホームには必ず2か所の避難経路がある。火災時の避難経路は駅構内に掲示されているので、普段使う駅だけでも確認しておくのがいいだろう。
列車内で火災が発生した場合は、扉を閉めて隣の車両に移った上で、非常通報装置で乗務員に知らせよう。列車火災ではトンネル内で停車すると被害が拡大するため、次の駅まで走行し、駅から避難するのが大原則だ。逃げようとして非常用ドアコック操作すると、列車が非常停止して避難できなくなるので絶対に避けること。
モバイルバッテリーを使用する際は、強い衝撃や圧力を与えないよう注意が必要だ。本体の膨張や異常な発熱を感じた場合は直ちに使用を中止しよう。発煙・発火した場合は燃え広がらない場所に移動し、必要があれば車内備え付けの消火器も使用できる。
一歩間違えれば大惨事の鉄道火災
どんな小さな「火災」「発煙」でも避難を検討すべきだ、と針小棒大なことを言いたいわけではない。無闇に危険を煽り立ててパニックを引き起こしては本末転倒だ。だが、どんな事件、事故、災害であっても、渦中の人はその結末を知らない。
2011年のJR石勝線の特急列車脱線火災事故では、乗務員と指令所の意思疎通がうまくいかず、煙が充満する車内に乗客がしばらく取り残される事態が発生した。奇跡的に死者は出なかったが、一歩間違えれば大惨事だった。
八丁堀駅のエスカレーターが、キングス・クロス駅のようにならなかったと誰が保証できるだろうか。血で書かれた教訓から、鉄道事業者が目をそらしてはならない。


