恐怖の「ロンドン地下鉄火災」

地下火災がどれほど恐ろしいものか。過去に駅で発生した火災で、特に重大な教訓を残した事例が2つある。ひとつは1987年11月18日にロンドン地下鉄キングス・クロス・セント・パンクラス駅(以下、キングス・クロス駅)から発火し、31人が死亡した事故である。

1987年、ロンドン地下鉄のキングス・クロス駅で起きた火災
1987年、ロンドン地下鉄のキングス・クロス駅で起きた火災(写真=Christopher Newberry/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

同駅は1863年に開業したロンドン地下鉄最古の駅のひとつで、メトロポリタン線、ピカデリー線、ビクトリア線、ノーザン線、ハマースミス&シティ線、サークル線の6路線が地下3層にわたり複雑に交差している。1日あたりの乗降客数は約30万人(事故当時)、ラッシュ時は1時間あたり4万人が利用する大ターミナルだ。

火災は地下1階の改札ホールとピカデリー線ホームをつなぐ、1939年に設置された高低差約17mの木製エスカレーターで発生した。東京消防庁がまとめた報告書によれば19時30分頃、エスカレーターが燃えているのを乗客が発見した。