「町の書店」を潰している犯人はだれ?
ここまで市場がシュリンクしているなら、書店の数が減るのは当然の話です。では、実際にどれだけ減っているのでしょうか。
「坪あり店舗(売場面積を公表している書店)」数については、2003年に1万3661店だったのが、年を追うごとに減少し、2025年12月時点で7458店になっています(日本出版インフラセンター「書店マスタ管理センター 登録軒数表」)。割合にすると、実に40%以上の減少です。
問題は、この数字がいつ下げ止まるのか、です。私は、当分の間、減少傾向が続くと睨んでいます。この状況に一石を投じたい、すこしでも書店の未来を良くしたいという思いがあって、書店の経営に乗り出すなど、あれこれ事業を展開しているわけです。
ところで、私が常々心がけているのは、「他責思考」に陥らないこと。業界の関係者のなかには、出版市場のシュリンクや書店の減少に関して、「犯人探し」に余念のない人がいます。曰く「若者の読書離れが原因だ」「スマホが読書時間を奪っている」「電子書籍が悪い」「アマゾンが悪い」などなど。
時代の流れを読めなかった出版人が悪い
どれも一理ありますが、たとえば「アマゾンが悪い」と言うなら、アマゾンより先に同じようなシステムを作っておけばよかった。あるいは、アマゾン対策をきちんとすべきだった。そういうチャンスは何度もあったはずです。ところが、日本の業界人はそれをしてこなかった、あるいは、やろうとしても失敗してきた。だから、こう言っては酷ですが、悪いのは当の出版人なんです。
「いや違う。時代の流れがわれわれに不利に働いた」と言うのであれば、その「流れ」を読み切れなかったのはどなたですか、と問い返したい。
たとえば、江戸幕府はなぜ滅んだか。それはいろいろな要因があるけれども、突き詰めて言えば、徳川家の運営がまずかったからでしょう。家光(第3代将軍)の頃は良かった、吉宗(第8代将軍)は名君だったなど、260年間の良かった部分をいくら言い立ててみたところで、結果として幕府は滅んでいる。幕府が存続して西欧列強と渡り合う世界線だって、徳川家の立ち回り次第ではありえたのに。
だから、もし50年後、出版業界が今よりさらに悪化していたら、私を含めて、今を生きる出版人のせいだと言われるでしょう。それは、私たちの責任として引き受けるべきです。そのような連帯感を持ってやっていこうと、私は業界人に向けて言いたいのです。


