値上げしたくてもできない“特殊事情”

利幅が小さいことに苦しんでいるのであれば、小売店が取るべき対策は2つです。たくさん売るか、1点あたりの値段を上げるか。パン屋であれば、商品を値上げしてコストの上昇分を回収する選択も可能です(うまくいくかどうかはわかりませんが)。

ところが、出版業界では「商品の値上げ」という手段が封じられています。日本では、書店が勝手に売価を上げたり下げたりできないんです。書店と販売会社(取次。本書の第三章で詳述)は、メーカーである出版社が決めた販売価格=定価で販売しなければならない。

これが「再販売価格維持制度」、いわゆる「再販制度」で、出版物は独占禁止法の適用除外となっているのです(これも第三章であらためてご説明します)。商品の売値を自己裁量で決められないわけです。この業界ならではの“特殊事情”ですね。