住民が選んだのは、400円のタクシー
そして現在、「鉄道駅が遠すぎる問題」の解決策として、予約制のデマンドタクシー「きみぴょん号」の利用者が増加しているという。
地元の利用登録者なら400円で、自宅近くのスポットまで来てくれて、駅から遠い町医者・スーパーや、郊外のゲートボール場(松丘スポーツ広場)に行けるとあって、利用者は1日平均で「30.5人」(2022年)。同年の久留里駅―上総亀山駅間の利用者が「1日69人」(地元以外の鉄道ファンの乗車が多い)であることを考えると、生活の足として「きみぴょん号」を利用する方が、相当数にのぼることが伺える。
久留里線はほかにも、「高速バスがピッタリと並行」「木更津駅エリアの商店街シャッター街化」「私立高校のスクールバスに通学利用者を取られた」など……「移動手段として使えない」理由は列挙にいとまがないので、これくらいにしておこう。
「JRの責任」だけではない
首都圏に近いにもかかわらず、久留里線が消えゆく背景には「交通機関としての機能が低すぎる」、一言で表現すると「役に立たない」「使いようがない」という事実がある。
実際に現地を巡っても、目の前に総合病院があるのにバリアフリーがなく動線が凸凹の「上総清川駅」、台風で屋根が吹き飛んだのにまともに修繕されず、子供を送迎する際の駐車スペースすらない「東横田駅」など、「哀愁を誘う昭和のローカル鉄道」といえば聞こえはいいが、実態は「放置されて時代に遅れただけ」とも言える。
アクアラインとの競合に晒されてもまともな利用促進をせず、設備改修もダイヤ改善も行わなかったからこそ、久留里線は「役に立たない鉄道」と化し、長期間にわたって利用者を削られ続けてきた。
その責任はJR東日本だけでなく、「JRが何とかしてくれる」とばかりに、ひたすら久留里線を放置していた木更津市、君津市にもあるだろう。
先に述べた通り、木更津駅―久留里駅間も年間7億円以上の赤字を出しており、今後とも安閑としていられないはず。
末端区間(久留里駅―上総亀山駅)の廃止が決定した以上、木更津高・君津青葉高校といった公立高校の通学輸送に必要な木更津駅―久留里駅間の改善にリソースを使い、最低限でも「ちゃんと駅で待てる」「駅までアクセスできる」環境を整えていただきたいものだ。


