ネガティブな親に育てられた子
親から子の脳への影響という点に焦点を当てると、幼少期の記憶が肯定的か否定的かによって、不測の事態への対応力は変わってきます。成長に伴ってその記憶を思い出すたびに、より幸福感に満ちた家族の記憶があるほうが、いかなる非常時でも自分の脳を落ち着かせてくれるでしょう。
要するに、否定的な過去の記憶は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に類似して幸福感とは正反対の感情とともに、気分を悪化させます。過去の成育歴を感謝の思いで繰り返して思い出し、幸福感に満たすことができたなら、その子の脳には、前向きな脳の成長のために永遠のお守りが宿っていると考えられます。
こう考えると人はすべて異なった成育歴があり、「いじめ脳」は誰にとっても無関係とは言えないのです。
このことから、親がわが子にできることは決して少なくないことがわかります。朝から家族間のネガティブな言葉にさらされ、イラつく状況を目にして登校する児童の気分が良いはずがありません。それ自体、子どもの脳からレジリエンスを奪ってしまうのです。
レジリエンスを高めるためには
右脳と左脳の違いから考えるファミリーレジリエンスという言葉があります。家族が幸福に満たされ、前向きに生きる生存能力が高ければ、その一員の子どもの生存能力も高くなるのです。
子どもの気持ちがいつも陽気で前向きなら、いじめ脳になる時間も動機も減ると考えられます。自分の育った環境を感謝できる子どもは、他人も自分も愛することに繋がるのです。
右脳と左脳の違いから考える
10年ほど前に、MRI脳画像診断をしていた私は、脳の成長の1つの手がかりを見つけました。それは、「感情の中枢が左脳と右脳に分かれている」事実です。
そもそも、なぜ右脳と左脳があるのか? これは脳の研究を始めた頃から抱いていた長年の疑問でした。一般的には、左脳は言語情報の処理を担い、右脳は言語処理より非言語の情報処理を担っていると考えられてきました。私は、右脳の非言語処理は、環境からの情報を収集して、成長へとつなげる「環境脳」と考えるようになりました。

