世界で加速するコンサル離れ
顧客らはすでに、コンサルタントに見切りをつけ始めた。
最大顧客の一つ、サウジアラビアでも離反が始まっている。公共投資基金(PIF)は昨年2月、PwCに対し1年間の新規アドバイザリー業務の受注を禁止した。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子主導の国家変革プロジェクトを推進する上で、コンサルタントに支払われる巨額の費用に対する政府の不満が背景にあると、業界関係者の間では見られている。
同国で業務を行うコンサルティング企業の幹部は、「“コンサル疲れ”は治まるどころか、むしろこうした声は大きくなる一方だ」と指摘する。
打撃を受けるのはPwCだけではない。ブルームバーグによると、マッキンゼーは2024年までの10年間、同国から年間少なくとも5億ドル(約764億円)の報酬を得ており、サウジは同社の最大顧客の一つとなっていた。政府が支出を削減したことで、同社の巨大な収益源が揺らいでいる。
逆風はサウジにとどまらず、世界的に広がる。中国は外資系コンサルを締め出し、国内勢を優遇する姿勢を鮮明にした。アメリカではトランプ政権が政府支出の削減に乗り出しており、コンサルもその例外ではない。
4000万円以上払った報告書は架空の内容だらけ
政府など大口顧客がコンサル費用を切り詰める昨今、コンサル企業自身も需要減への対応を迫られる形で、支出の引き締めと効率化を進めざるを得ない。
その一環としてAIの導入を進める動きがあるのだが、安易にAIを導入した結果、皮肉にも信頼が失墜するケースが相次いでいる。
米ビジネス誌フォーチュンによると、デロイト・オーストラリアが政府に提出した報告書は、契約額29万ドル(約4400万円)という高額の成果物にもかかわらず、その品質はひどいものだった。
存在しない学術論文を出典として挙げ、連邦裁判所の判決とした引用部分にも捏造が含まれていた。シドニー大学の医療・福祉法研究者クリス・ラッジ氏はメディアに対し、「捏造された参考文献だらけだ」と警告している。
デロイトは誤りを認め、部分的に返金に応じた。最終的に納品された修正版には、マイクロソフトの生成AIサービス「Azure OpenAI」を使用していることが明記された。
オーストラリア緑の党のバーバラ・ポコック上院議員は、「大学1年生(のレポート課題)でも深刻な問題になるようなことだ」と批判し、全額返金を求めている。
カナダでも同じ失態が繰り返された。
ニューファンドランド・ラブラドール州がデロイトに委託した医療人材計画は、契約額が約160万カナダドル(約1億8000万円)に及ぶ。だが、カナダのオンライン紙インディペンデントによると、この報告書にも架空の引用が4件含まれていた。
州保健省の広報担当ブライアン・スコット氏によると、デロイトは誤りを認めつつ、報告書の結論と所見は正しいと主張する。だが同州では数カ月前にも、別の政府報告書で15件以上の存在しない引用箇所が発覚していた。

