一方で、人民解放軍の装備の信頼性に問題が出ているとの見方もある。米国防大学中国軍事研究センターのジョエル・ウートナウ上級研究員はブルームバーグの取材に応じ、調達をめぐる汚職が相次ぐ中、上級将校たちには装備の欠陥を隠す動機が生じていると指摘した。

欠陥は実戦まで表面化しないかもしれない。ならば粛清されるリスクを冒してまで上層部に報告する動機が働かない。ウートナウ氏は、「習近平自身も人民解放軍の装備品質に完全な自信を持てていない可能性がある」と分析している。

習近平政権は70年代中国の失脚劇に似ている

中国共産党の歴史に、似た光景がある。1970年代末、毛沢東氏の後継者・華国鋒(ホア・グオフォン)氏は、権力を握ったわずか数年後、鄧小平(トウ・ショウヘイ)氏によって静かに政界を追われた。

1979年4月、レンヌを公式訪問する華国鋒
1979年4月、レンヌを公式訪問する華国鋒氏(写真=Sigismond Michalowski/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

ディプロマットは、習近平政権と華国鋒時代の類似性を指摘する。華国鋒氏もまた、急速な中央集権化を進めた指導者だった。鄧小平氏はこれに正面から対決せず、要職に自らの側近を配し、権力集中への批判ムードを党内に醸成した。1978年の第11期中央委員会第3回全体会議(三中全会)で華国鋒路線が否定されてから2年、華国鋒氏は政策決定の場から姿を消した。

昨年6月に改定された中国共産党規定は、前述のように指導小組や委員会に対し、中央委員会への報告を義務づけている。習近平氏が築いた非公式な意思決定機構への制約であり、かつて鄧小平氏が敷いた包囲網を想起させる動きだ。

習近平氏は、一層厳しい支配体制で応戦するとの見方がある。パトリシア・ソーントン氏は、チャイナ・リーダーシップ・モニターに対し、習近平氏が「人民を死に至らしめるような統治」を行うリスクがあると警告している。

専門家たちは体制の行方について複数のシナリオを想定する。だがいずれも、過度な統制が体制を内側から蝕んでいるという診断では一致している。

華国鋒氏は自ら築いた鉄壁の要塞の内側で孤立し、静かに政治の表舞台を去った。習近平氏の周囲にも、不気味な静けさが迫っている。

【関連記事】
習近平が最も恐れる展開になる…高市首相が切り出せる「日本産水産物の輸入停止」への3つの対抗手段
「日本の新幹線」を売らずに済んでよかった…「走るほど大赤字」インドネシア新幹線を勝ち取った習近平の大誤算
だから習近平は「高市叩き」をやめられない…海外メディアが報じた「台湾問題どころではない」中国の惨状
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」
高市早苗氏でも、麻生太郎氏でもない…「まさかの自公連立崩壊」で今もっとも頭を抱えている政治家の名前