世界中で不動産の投資熱が高まったワケ
不動産調査会社の推計によると、昨年、世界の不動産投資額は前年比19%程度増加したという。金額ベースで見ると約8400億ドル。1ドル=155円で換算すると、130兆円近くに達した。
主な国や地域別にみると、景気が安定していた米国で不動産投資の伸び率が高かった。四半期ごとに変動はあったものの、欧州、アジア太平洋地域でも不動産投資は増加した。
その要因として、インフレが進んだため、投資の矛先が金や不動産など実物資産に向かったことが挙げられる。また、米国、ユーロ圏で金融政策が緩和に転じたことも見逃せない。
2024年後半、米国の連邦準備制度理事会(FRB)や、欧州中央銀行(ECB)は利下げを実施した。昨年も利下げは続いた。それにより金融機関の貸出金利は低下し、不動産の投資熱は高まった。
巨大テック企業はデータセンター投資を加速
主な不動産の4分野(オフィス、住宅、宿泊、産業用)ごとに見ると、AI(人工知能)用のデータセンターの投資増加は鮮明だった。2026年12月期、アマゾン、メタ、アルファベット(グーグル親会社)の3社だけで、データセンター投資額は5200億ドル(約81兆円)に達する見込みだ。マイクロソフトを加えると100兆円程度になると予想される。
一部では、データセンター投資の負担が増大し、財務内容が悪化する大手IT企業や投資ファンドも出始めた。それでも、世界のIT先端企業にとって、高い推論性能の開発、AI関連分野事業の成長にデータセンター投資は積み増さざるを得ない。インドではアダニ・グループが、2035年までに1000億ドル(約15兆5000億円)のデータセンター投資を実行する模様だ。
また、2022年以降の世界的な金融引き締めの影響で、ビル建設が減少し、不動産物件の供給が減ったことがある。物価上昇で建材や作業員の人件費などコストも増え、欧米などの主要都市でオフィスの供給は減少した。供給が少なくなった中で金利引き下げ、在宅勤務からオフィス勤務への回帰は続いた。オフィス需要が増加したことも、投資を押し上げた要因だ。
世界的な金利低下や、人手不足を背景とする賃金上昇で居住用物件、ホテルなど宿泊施設への投資も増えた。投資の増加で、米国の一部地域では住宅の価格が高騰し、「中流層はマイホームを買えない」との指摘もある。資産を持つ人と、持たない人の経済格差は拡大している。

