寝る前の空腹には「ヨーグルト+フルーツ」
さらに、熟睡のための意外な秘策として、夜間の間食についてお話ししましょう。
一般的には「寝る前は食べないほうがいい」というのが健康の常識とされていますよね。しかし、これはケースバイケースなのです。
どうしても熟睡したい夜に、空腹のままベッドに入るのは、じつはあまりいい方法ではありません。
なぜなら、長年飢餓と戦ってきた人類の脳では、空腹になると「お前、寝ている場合じゃないだろ! 食べ物を探しに行け!」という、覚醒物質であるオレキシンの指令が出されてしまうからです。
これでは、せっかく昼間にがんばってオレキシンを抑制する準備をしても、台なしになってしまいます。
そこで、そんな夜は、空腹を軽く癒やすために「フルーツ入りのヨーグルト」を食べてみてください。
ヨーグルトやぶどう、バナナ、メロンなどの果物には、心身をリラックスさせるGABAという脳内物質を分泌させる作用があります。
GABAが活性化すれば、副交感神経が優位になります。その結果、あなたの心身は深い安らぎに包まれ、自然な睡眠へと誘われるのです。
昼間の徹底的な活動と、夜のGABA分泌。
この二つを心がけることで、あなたの脳は休息を取り戻すことができるでしょう。
「ストレス食い」の背後にある恐ろしい構造
「食事に気を遣っているのに、飲み会や休日になると、ついドカ食いしてしまいます……。最近、お腹も出てきました」
このような悩みを抱えている方は、少なくありません。
いわゆる「ストレス食い」の背後には、じつは、あなたの知らない恐ろしいメカニズムが隠されています。臨床現場ではよく言われていることですが、過食の方は「睡眠負債」を合併している場合が非常に多いのです。
睡眠が足りないと、体内でホルモンのバランスが崩れます。
食欲を増加させるホルモンであるグレリンの分泌量が増える一方で、食欲を抑えて満腹感を伝えるホルモンのレプチンは、まるでブレーキが利きすぎたかのように低下してしまうのです。このグレリンとレプチンのアンバランスこそが、あなたを暴飲暴食へと駆り立てる最大の原因だと考えられています。
さらに、グレリンの増加とレプチンの減少は、覚醒物質であるオレキシンの活性化につながり、あなたの眠りはさらに浅くなってしまいます。
こうして、「睡眠不足 → 食欲増進 → 過食 → さらなる睡眠の質の低下」という、恐ろしい負のスパイラルに陥ってしまうのです。
このスパイラルがどれほど危険か、具体的なデータを見てみましょう。
ある医学論文では、睡眠時間がたった1時間短くなるごとに、肥満の指標であるBMIが0.35上昇すると報告されています。
これは、身長170センチメートルの人だと、睡眠時間が1時間短くなるだけで、気づかないうちに1キログラムも太ってしまうことを意味しています。
もし、あなたが体重増加に悩んでいるのだとすれば、それは日々の「睡眠負債」が静かに積み重なった結果かもしれません。

