日本が取りうる外交的戦略とは

その結末を回避するには、集中的な外交的関与、慎重な軍事シグナリング、そして中国、米国、台湾の3者から一定の自制が求められる。

佐々木れな『自滅する米中』(SB新書)
佐々木れな『自滅する米中』(SB新書)

状況は差し迫っているが、賢明な外交が優位であれば戦争は不可避ではない。すなわち、極端なリアリズムに則っただけの、外交的戦略を持たない軍事的抑止力の向上は、一定の紛争抑止効果を持つが、それ単体では不十分であるということだ。

そして、だからこそ、米中台の3アクターに加えて、日本の役割がさらに重要となる。日本に求められているのは、まさにこの抑止力と外交のバランスをとり、すべての当事者に対して無謀な行動を起こさないよう自制を促すことである。

究極的に日本にとって最大の利益は、「台湾有事が起きないこと」である。つまり、より明確にいえば、日本の戦略的目標は、「台湾有事で軍事的勝利を目指すこと」ではない。相手の鼻を明かす軍事的勝利だけが勝利ではないのだ。

台湾をめぐる情勢において、日本の責任ある行動とは、むやみに有事を煽ることではない。次の3つを、政治的リーダーシップと覚悟を持って、粘り強く、かつ明確に伝えることだ。

米、中、台湾に伝えるべきこと

①中国に対しては、軍事侵攻が中国の究極の目標、すなわち中国共産党体制の存続にとって明らかに利益にならないこと。

②米国に対しては、日本を含む有志国が地域の安全保障でより大きな役割を果たすというコミットメントを示しつつ、中国が行動する口実を与えるべきではないということ。

③そして台湾に対しては、今の地位・枠組みのなかで最大限交流を強化しつつ、そもそもの地位・枠組みを転換しようという試みは明確に支持できないこと。

日本にしか果たせない役割、日本こそ果たせる役割だと考えるが、いかがだろうか。

【関連記事】
習近平が最も恐れる展開になる…高市首相が切り出せる「日本産水産物の輸入停止」への3つの対抗手段【2025年11月BEST】
だから習近平は「高市叩き」をやめられない…海外メディアが報じた「台湾問題どころではない」中国の惨状【2025年12月BEST】
「日本の新幹線」を売らずによかった…「貸した金が返ってこない」習近平がハマったインドネシア新幹線の泥沼【2025年12月BEST】
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」【2020年BEST5】
異民族に3000人の皇族が連れ去られ、収容所送りに…「戦利品」になった女性皇族たちがたどった悲惨な結末