中国が「主観的に」状況判断する

反分裂国家法のきもは、これが国際法や条約といったたぐいではなく、中国の国内法であることだ。中国の立場からすると、この国内法は、台湾は内政問題であり、状況下では武力行使が許されるという主張を強化するものだ。

ちなみに2025年はこの法の成立・施行20周年ということで、中国では関連するイベントがいくつか開催された。例えば、座談会が開催され、趙楽際ちょうらくさい全国人民代表大会常務委員長が講演を行った。他にも、頑固な台湾独立分子を通報する専用サイトと専用メールアドレスが公開され、誰でも通報できるような体制が整備された。

英国スターマー首相が習近平中国共産党総書記と二国間会談を行ったときの写真
英国スターマー首相が習近平中国共産党総書記と二国間会談を行ったときの写真。2026年1月29日、中国・北京(画像=Simon Dawson/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

アメリカは台湾をどう見ているか

しかし、米国は台湾に関して異なる見方をしている。

1979年に米国が外交関係を中華民国(台湾)から中華人民共和国(中国)に切り替えた際、「一つの中国」政策を採用した。ただし、先に説明した通り、米国は中国の「台湾は中国の一部である」という主張を認識しているが、その主張を支持しているわけではない。

実際、米国は一貫して、台湾の地位は未解決であり、平和的に決定されるべきだと主張してきた。米国側の立場は、いずれの側も台湾の地位を一方的に変更すべきではなく、いかなる解決も台湾の住民の同意を必要とするというものだ。したがって、米国は中国の台湾に対する主権を認めず、台湾の一方的な独立宣言も支持していない。

この立場を法的に裏づけるため、米国議会は1979年に台湾との外交関係を断絶した後、台湾関係法(Taiwan Relations Act〔TRA〕)を制定した。

同法は米国と台湾の非公式ながら強固な関係を定めている。重要な点は、TRAのなかで、平和的な手段以外の方法で台湾の将来を決定しようとするいかなる試みも、地域平和を脅かす「重大な懸念」とみなすことを米国が明確化している点だ。

米国と台湾の間には、安全保障条約は存在しないが、TRAにより米国議会は、米国政府に対し、台湾に防衛用の武器を提供し、台湾の住民に対する武力行使に対抗するための米軍の能力を維持する政策を義務づけている。つまり、本質的に、米国は台湾の自衛を支援するための法的枠組みを確立し、中国に対し、侵略は容認されないことを明示している。