地政学的大惨事を回避するために
台湾をめぐる問題には解決の道筋が見いだしづらく、台湾有事も絵空事でないように思える。
台湾は、多くの専門家が今後数年間で衝突に発展する可能性があると公然と警告する火種となっている。迫り来る危機の兆候、すなわち、中国の軍事活動の強化、2027年を戦争の可能性がある年として明示するタイムライン、高まる不信感は、危険な局面を示している。
しかし、台湾戦争は不可避ではない。危機は差し迫っているが、賢明な政策を推進すれば、地政学的大惨事を回避する可能性はまだ残っている。
米国とその同盟国は、北京が侵略の容易な機会を見いださないよう、軍事的抑止力を強化し続ける必要がある。
同時に、中国による一方的な武力行使に反対する、日本をはじめとする有志国の軍事的即応性・相互運用性を強化すべきである。台湾の防衛と米国の前方展開を強化することで、中国の指導部に戦争のコストがあまりにも高すぎると説得することができる。
北京との明確なコミュニケーションと危機管理チャンネルを維持することも同様に重要だ。双方が相手の意図について最悪の事態を想定する。そして緊張した局面で状況を明確化したり緩和したりする手立てを打つ。そうした手段がない場合、誤算が生じる可能性が高くなってしまう。
軍事ホットラインの再設置、海上・航空安全に関する対話の実施、相互の行動規範の設定などは、偶然の火種が戦争に発展する可能性を低減する。ワシントンと北京は、2023年末に軍事間の対話を一部再開する措置を講じたが、政治的な摩擦にかかわらず、このような努力は継続すべきだ。
効果的なコミュニケーションは、一方の側がもう一方の通常の動きを致命的な脅威と誤って解釈するのを防ぐ。それにより、単純な軍事力による抑止力を補完することができる。
「時間稼ぎ」をする必要がある
要するに、現在の台湾紛争は驚くほど現実味を帯びており、おそらくここ数十年で最も深刻な状況にあるが、それでも決して避けられない運命ではない。今後数年間は、抑止力と外交の微妙なバランスが求められる。両側が挑発を避け、武力衝突なしに共存する方法を見いだすことができれば、直近の危機は回避され、長期的な解決策を模索する時間を得ることができる。
台湾をめぐる戦争に関する結論は明らかであり、一度米中双方を巻き込む戦争が発生すれば、それは関与するすべてのアクターにとって破滅的であり、北東アジアのみならず、世界経済と多くの国の国民生活を混乱させる可能性がある。米中が自滅するだけではすまない。

