なぜ自分の苦労話をすると逆効果なのか

問題が個人的なものだとわかった場合は、「それは辛いよね」とか「本当に大変だね」といった基本的ないたわりの言葉をかけるにとどめよう。そのうちに何もかもうまくいくよと言ったり、元気を出せよと言ったりしてはならない。また、自分自身の体験を話したいという衝動を抑えなくてはいけない。「心配事を抱えている社員が1番聞きたくないのは、上司が自分自身の病気や身近な誰かの病気にどのように対処したかという話だ」と、クリーマーは言う。

「上司にできる最大の手助けは、部下の話をよく聴いて、彼らが仕事関係の悩みを解決する手助けをすることだ」と、クリーマーは言う。

職場の問題のせいで泣き出したのだとわかった場合は、その部下と一緒に、さらに必要なら他の部下の協力も得て、その問題の解決に取り組もう。個人的な問題が原因の場合でも、打開策を考える手助けをすることはできる。「大変だね。君にとって何が1番助けになるか教えてくれないか。実現できるかどうか検討してみるから」というような言葉をかけるとよいだろう。

また、具体的な方針を立てるよう心がけよう。その部下の仕事量を一時的に減らすことは可能だろうか。状況を把握し、それがその部下の仕事にどのように影響を及ぼしているかを見きわめるために、定期的な現状報告の場を設けられるだろうか。

抱え込んではいけないケースは

マネジャーの手には負えない状況もあるかもしれない。たとえば、精神疾患や薬物乱用などだ。これらの場合を含めて、自分が対処するのが不安な状況のときは、人事部や従業員支援プログラムの担当者にその部下を引き合わせよう。これは涙を目にしたときのマネジャーの最初の対応であってはならないが、自分の能力外のことを引き受けるのも、してはならないことだ。

危機が部下の感情を揺さぶるのを待つのではなく、部下が自分の生活で何が起こっているかを上司に伝える機会を設けておこう。クリーマーが勧めるのは、「君に影響をおよぼすおそれのある差し迫った問題はないかね。もし何かあるなら、それについて話をして、どうすればよいか一緒に考えようじゃないか」というような語りかけをすることだ。これによって部下は、事情を話す許可を与えられる。「社員は助けを求めるのを怖がることが多い。組織にとっての自分の価値が危うくなると思うからだ」と、彼女は言う。バークスの調査では、部下の様子に関心を払うことで、マネジャーは人間味が増すだけでなく、よりよいリーダーにもなるという結果が出ている。