対中政策で「アメリカの負担が減る」

そのニュアンスは、スコット・ベッセント財務長官の発言にも現れている。

彼は日本を「偉大な同盟国」と評価し、「日本が強ければ、米国もアジアで強い」と語った。これは、日本の軍事的・政治的な強さを、そのまま米国の地政学的優位と結びつける発想に聞こえる。

さらに注意したいのが、ピート・ヘグセス国防長官の発言だ。昨年3月の中谷元防衛大臣(当時)との会談で、台湾海峡危機を含む有事の際に「日本は前線に立つ」と語った。これは、衝突が起きた場合、日本が最初に影響を受ける位置に置かれていることを、事実上示唆するものだ。

こうした見方は、決して一部の強硬派だけのものではない。

ワシントン・ポストの社説は、高市政権の圧勝によって「日本が対中抑止の前線を、より多く引き受けられる体制が整った」と明確に書いている。

ニューヨーク・タイムズも、「日本のリーダーが圧勝し、強硬路線への道が開かれた」と報じた。与党が強固な政治基盤を得たことで、積極財政や安全保障関連政策を進めるうえで「ほとんど制約を受けなくなる」と指摘している。

この状況は、トランプ政権にとって戦略的に利用しやすい。

中間選挙に向けた「成功物語」に利用される日米同盟

これまで見てきたように、アメリカにとっての「使える日本」は、主に安全保障や経済の文脈で語られてきた。

だが2026年2月現在、トランプ政権がそれ以上に重視しているのは、11月に控える中間選挙である。中間選挙は常に与党が苦戦しやすいが、今回は特に厳しい。背景にはトランプ大統領の支持率低迷がある。

共和党は議会で辛うじて多数派を維持しているが、下院では議席逆転の可能性が語られている。もし下院を失えば、これまでのような強権的な政権運営は難しくなる。トランプ大統領自身も、「中間選挙で勝たなければならない。負ければ民主党は私を弾劾する口実を見つけるだろう」と語り、強い危機感を隠していない。

こうした追い詰められた状況の中で浮上してきたのが、日本だ。

トランプ政権にとって重要なのは、政策そのものよりも「同盟は機能している」「強いリーダーシップが成果を生んでいる」という物語を、国民に見せられるかどうかだ。