「日米投資協定、中国への依存回避」で支持率回復を狙う
特に、ヨーロッパで台頭する極右勢力は、ファシズムなど過激なイメージで報じられがちだ。一方日本は、秩序ある国というイメージが強い。そんな国が、安全保障を理由に右へ舵を切ったという構図は、「アメリカだけが極端なのではない」という説明として、国内向けに非常に使いやすい。
さらに今回は直前に高市氏を支持することで、「自民党圧勝はトランプ氏の支持のおかげ」という物語まで用意してあった。それを祝辞の中でも、「あなたを支持できたことは私にとって名誉でした」としっかり回収している。
その直後発表された日米投資協定に基づく投資も同様だ。
英ガーディアン紙は「この投資は日米の中国への挑戦」と位置付けている。トランプ氏は「この取引は、外国への愚かな依存に終止符を打つ」と語り、この投資は日本への関税引き下げの交換条件として実現したことも強調した。インフレの原因として強い批判を受けるトランプ関税を正当化するためにも使われている。
つまり日本は、中間選挙を前にしたトランプ政権の国内政治においても、「成果を語るための同盟国」として扱われつつある、ということだ。
負担だけを押し付けられる日本
今、アメリカでは国内向けに、「日本は防衛強化に本気だ」「同盟は機能している」という物語が語られている。
だが、この演出と現実には大きな乖離がある。
強硬路線は、直ちに外交摩擦を生んだ。日本が中国漁船を排他的経済水域内で拿捕した事件は、すでに緊張していた日中関係をさらに悪化させる出来事として受け止められている。さらに、中国の外交的な反発と共に、日本への渡航自粛など、具体的な摩擦が生まれていることも伝えられている。
「頼もしい日本」として語られる成果は、外交環境の不安定化というリスクと背中合わせだ。
同時に、こうした強硬姿勢は国内経済や財政面にも影を落とす。防衛費の急増は財政負担を押し上げ、高い公的債務と相まって、市場リスクを拡大させかねない。
アメリカでは、日本の防衛力強化と同盟の安定が、政権の成果として語られている。だが日本側に積み上がるのは、防衛費の増加と地域関係の悪化、そして有事の最前線に立たされるという現実だ。
もしこのズレに目を向けなければ、日本は「頼れる同盟国」と評価されながら、負担だけを引き受けることになる。
