金融市場は「減税なし」と見抜いている

財政方針の説明にはやや矛盾があるが、結果的に高市首相が消費減税を見送るなら、それは妥当な判断、と小黒一正教授は語る。

「もし食料品だけの税率をゼロにし、外食を10%に据え置けば、そこには圧倒的な価格差が生まれます。経済学でいう『代替効果』が働き、消費者は外食を控え、スーパー等での購入(中食・内食)へ極端にシフトする可能性もあります。一部の税を引き下げたからといって、経済に必ず良い影響があるとは限らないのです。これから防衛費の拡充の議論も始まる可能性もあるなか、その財源が問題になる可能性もあります。消費税は社会保障の財源として活用されており、そのような状況で、税率の引き下げを無理に行えば、医療や年金の財政が不安定化することも懸念されます」

消費税を上げると言えば選挙で不利になる。一方、積極財政で支出を増やすと言えば、選挙で有利になる。

そうした思惑から、歴代の政権は、消費税を上げるのか下げるのか、財政支出を増やすのか減らすのか、曖昧な言い回しでごまかしてきたわけだ。

「消費減税が悲願」と言いながら、「実は消費税10%支持」だったり、「積極財政」と言いながら実際には「プライマリーバランス黒字の緊縮財政」だったりという、混乱した説明がなされているのは、そうした政治手法を脈々と受け継いできたことのあらわれではないだろうか。

しかし、残念ながら、そうしたあやふやな説明は通用しないようだ。

衆院選での自民大勝の結果を受けて、一時は急激な円安が心配されていたが、逆に円高傾向で推移している。

つまり、金融市場は「消費減税はない」と見抜いているわけだ。

「消費減税は私の悲願」「円安でホクホク」……。一つひとつの発言に振り回されず、政権の真意を見抜いて行動する必要がありそうだ。

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