「責任ある積極財政」が抱える矛盾
政権側による事実と異なるあやふやな発信は、何も消費税に限った話ではないという。
法政大学の小黒一正教授によれば「そもそも『責任ある積極財政』という説明自体にやや矛盾を感じる」という。
「これから国会審議が始まる2026年度予算案は、国の一般会計のみの話ですが、『プライマリーバランス黒字化(1.3兆円)』予算になっています。『プライマリーバランスが均衡』とは、国債費を除いた社会保障関係費や公共事業などの政策的経費が、税収等(国債発行以外の税外収入を含む)と同額ということ。『プライマリーバランスが赤字』だと政府の支出を税収等で賄えないため、国債残高(対GDP)も膨らむ圧力がかかります。
ただ2026年度予算案はプライマリーバランスが黒字なので、新規の国債発行も30兆円未満でおさまっており、補正予算を組めば話が別ですが、2026年度末の国債残高(対GDP)は25年度末の170%から166%に縮小する可能性があり、どちらかといえば『緊縮的』な予算案だと言えます。それを『積極財政』と呼んでいるのには違和感を覚えます」
「そもそも、財政運営は時々の経済状況に依存することは明らかですが、積極財政を主張する人たちは、『景気が悪いのに政府の支出を増やさず緊縮財政をしていたから、デフレ脱却が遅れた』としてきました。ですが、デフレがひどかった期間は、『プライマリーバランスが赤字』で、国債残高(対GDP)も累増してきた。つまり、景気が悪く税収が伸びないので、財政赤字で国債を大量発行して補っていたわけですが、これは『積極財政』にほかならないのではないでしょうか。
つまり、積極財政だった時の予算を緊縮財政と呼び、26年度予算案のような緊縮財政を積極財政と呼んでいるのです。政治的なポーズの可能性もありますが、やや矛盾があると思います」

