1株当たり利益が同じ会社、どちらが投資に適しているか

ここで、2つの企業を比べてみたいと思います。

この2社の資料を見比べて、あなただったら、どのような投資判断を行うかを考えてみてください。

(A) 株価が高いほうが良い会社だ。帝国製菓に投資すべき。
(B) どちらの株価も割高だ。今は投資を見送るべき。
(C) 角川製菓は地味なわりに株価1000円は期待されすぎており割高だ。
(D) 帝国製菓は、現在の実力に対して株価9000円は期待されすぎており割高だ。

正解はDです。株価という数字の大きさに惑わされてはいけません。株価はただの人気投票の結果にすぎないのですから、重要なのは、その人気が実力に見合っているかどうかです。2社のEPSとPERを整理すると次のとおりです。

帝国製菓 角川製菓
EPS(実力) 100円 100円
株価     9000円 1000円
PER(期待度) 90倍 10倍

両社の稼ぐ実力(EPS)は同じですが、帝国製菓は「投資回収に90年かかる」ほど過剰に期待されています。これはニュースなどによる熱狂が株価を押し上げた「割高」な状態です。もしブームが去り、期待が剥がれ落ちてPERが業界平均の20倍まで下がったらどうなるでしょうか……?

帝国製菓の新しい株価 = EPS100円 × PER20倍 = 2000円

株価は約80%も大暴落してしまいます。これが「期待バブル」の恐ろしさです。

エヌビディアの時価総額は「バブル」なのか

冒頭に挙げたエヌビディアはどうでしょうか。時価総額5兆ドルという数字だけを見ると、本文で紹介した「帝国製菓」のような危険なバブルに見えるかもしれません。しかし、投資のモノサシであるPER(期待度)を当てはめると、意外な景色が見えてきます。

2025年末時点のエヌビディアの実績PERは約47倍です。一方、ライバルのAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイシズ)は110倍(※26年2月現在、約78倍程度に低下)を超えており、市場はAMDに対してより高い成長期待を織り込んでいます。

「あれ? エヌビディアのほうが圧倒的に時価総額が高いのに、PERはAMDより低いの?」

そう思った方は、株価の公式を思い出してください。

株価 = EPS(実力) × PER(期待度)

エヌビディアは株価も上がっていますが、それ以上にEPS(実力)が爆発的に伸びているため、PERが極端に膨らむのを抑えているのです。