未来を現在の価値で見て損得を判断する

この「割引現在価値」の考え方は、企業の重要な投資判断でこそ真価を発揮します。例えば、社長が「1000億円投資すれば、10年後に1500億円になって返ってくる!」と言ったとします。

割引率を5%とすると、10年後にもらえる1500億円の割引現在価値は約920億円です。現在の1000億円を投資して、現在の価値で920億円しか得られない。これは「損する話」だと、冷静に判断できるのです。

この「未来を現在の価値で見る」という考え方は、株価を理解するうえでも重要です。図表4のとおり、株価の正体を知るための、シンプルな公式があります。

会社の実力と期待度を測る2つのモノサシ

株価は、企業の現在の「実力」だけでなく、投資家たちの未来への「期待」が掛け算されて決まります。この2つを測るモノサシがEPSとPERです。

1.「企業の実力」を測るモノサシ【EPS】

1株当たり利益(EPS:Earnings Per Share)は、「1株当たり、会社がいくら利益を稼いだか」を示す指標です。EPSが高いほど「実力のある会社」といえます。

EPS(円) = 当期純利益 ÷ 発行済株式数

2.「みんなの期待度」を測るモノサシ【PER】

株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)は、「企業の実力の何倍期待されているか」を示す指標です。1株当たり利益(EPS)は1年間の利益なので、今の株価(投資に必要となる1株当たりの値段)をEPSで割ると、「その投資の値段が、何年分の利益に相当するか」がわかり、それは「投資したお金を回収するのに何年かかるか」の目安にもなります。

PER(倍) = 株価 ÷ EPS