仮説を仮説のままで終わらせない

例えば、防衛大学校や自衛隊などに専門家がいるのですから、そういう人たちと歴史研究者が共同研究してみればいいだろうと僕は思います。

本郷和人
本郷和人『軍事の日本史[新装版] お金・戦略・武力のリアル』(朝日新書)

軍事行動に関して向こうは専門家です。実例も豊富にもっていらっしゃるわけでしょう。だけど、そういう方法論が歴史研究者にはないんですね。それもこれも、戦後にわかに、皇国史観から転換したマルクス主義的な発想があまりに強く浸透したために、「自衛隊」とか「防大」と聞くだけでアレルギー反応を起こしてしまうためです。

そろそろ共同研究によって歴史上にあった軍事を科学的に分析したい。そうすれば少しはこんな疑問も解決できるんじゃないか。とりわけ僕は、この「挟み撃ち」がどこまでキツイのかをとても知りたい。軍事の専門家に説明されたら一発で解決するかもしれないし、ぜひその知見を取り入れたいと本気で思っています。

というわけで、なぜ信長が金ヶ崎から撤退したか、今のところ僕の中では「仮説その二」、挟み撃ちを恐れたから、というのが有力です。

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