米国で「レイオフ」は日常茶飯事

井上さんがレイオフされる前年、別の会社で働いていた妻もレイオフを経験した。幸いなことに、その通知の1週間前に夫婦で渡米10年目にしてグリーンカードを取得したばかりだった。

グリーンカードがあれば、雇用に依存せず無制限でアメリカに滞在できる。職業も自由に選べる。H-1Bなどの就労ビザで働く外国人にとって、レイオフは深刻だ。ビザは雇用に紐づいているため、解雇されると60日間の猶予期間内に次の雇用先を見つけるか、帰国しなければならない。たとえ再雇用が見つかっても、ビザの移行が完了するまで就労が許されないから、アルバイトで食いつなぐこともできない。井上さんの就労許可は、妻のビザで配偶者として与えられたものなので、もしグリーンカード取得前に妻がレイオフされていたら、帰国を迫られた可能性がある。

「まるで映画みたいな綱渡りのタイミングでした」と井上さんは振り返る。