学力の高い家にある本の数
ちょっと余談になりますが、家庭の蔵書数は子どもの読解力を予測するかなり有力な指標です。
15歳を対象に4年に1度行われる国際学力調査(PISA)の結果を見てみると、まず家庭にある本の数(雑誌・新聞・教科書は数に含めない)は、参加したOECD加盟国(37カ国)の平均でも、日本に限ったデータでも、「26〜100冊」と回答した参加者がもっとも多く、3割前後でした(OECD平均:29.1%、日本:34.3%)。
そして蔵書数と読解力の関係を見てみると、家庭に本が101冊以上ある子どもは、100冊以下しかない子どもよりも、読解力が44ポイント高かったことが報告されています(※)。この読解力の差は参加したOECD加盟国(37カ国)の平均値にもとづいたもので、親の学歴と職業を統計的に統制した後の数値です。44ポイントというのは、学力偏差値に換算すると、10分の1の4.4ポイントにあたります。
(※)Ikeda,M.,&Rech,G(2022).Does the digital world open up an increasing divide in access to print books? In PISA in Focus(Vol. No. 118). OECD Publishing.
「蔵書数」が示す学力の差
もっと極端に、「0〜10冊」と「201〜500冊」を比較すると、参加国平均で118ポイント、日本でも95ポイントの差がありました(学力偏差値に換算すると、それぞれ11.8ポイント、9.5ポイント)。こちらは親の学歴と職業を統計的に統制していない結果ですが、かなりインパクトのある差ですよね。
ここで念のため補足しておきたいのは、「家に本を置くと、学力が勝手に高まる」なんて魔法のようなことはもちろん起こらない、ということです。蔵書数の多い家は、それだけ落ち着いていて、教育に高い価値を置く家である可能性が高いです。そこでは親が勉強に付き合ったり、塾に通わせたりもしているかもしれません。
そんな環境のひとつの特徴が「家にたくさん本がある」であり、子どもも読書をよくする傾向があるかもしれない、ということなのです。
少し前に、本はある程度の「数」が必要、と書きましたが、それは決して表面的に蔵書数を増やすことが目的なのではなく、短期的には「子どもに本を読んでもらうため」であり、長期的には「蔵書数が多いことをひとつの特徴とする、落ち着いた家庭をつくるため」なのです。



