丸紅にとって過去最大のM&Aとなったガビロンの買収劇。日本初の「穀物メジャー誕生」の裏側に迫る。

“全く違う世界”へ行けるんだな

米国ネブラスカ州にあるガビロン本社の社内。(写真提供=丸紅)

「あのガビロンが売りに出されたようだ」

業界関係者から、極秘話を聞きつけた岡田は、嬉しくてたまらなかった。

岡田は当時の心境をこう語る。

「喉から手が出るほど買いたいけど、本当に買えるんだろうか。最後の最後に運が悪いことが起きて、買えなくなるんじゃないか。こんなラッキーなことはない。ここで手を挙げないと、丸紅が穀物メジャーに食い込めるチャンスは2度とないだろう。決めた、絶対に取りにいく」

「ガビロンを買いたい」

岡田が朝田社長にガビロン買収を持ちかけたのは、今から約3年前。

その後、取締役が集まる経営会議の場で、「ガビロン買収」を議題に乗せた。だが、会議での反応は思わしくなかった。08年に発生したリーマンショック後で、厳しい経営環境が続いていたため、ガビロン買収一件だけに、過去最大規模の投資となるであろう資金を投じることが躊躇されたからだ。

しかしながら、丸紅の財務が改善されるようになり、キャッシュフローが着実に積み上がるようになってから、朝田も積極的に投資の機会を窺い、岡田にフォローの風が吹きはじめた。

11年の秋も深まる頃、ガビロン買収に積極的な岡田は、相変わらず朝田を口説いていた。

「このままでは丸紅は、穀物を(穀物)メジャーから買って、日本のお客さんに売るだけの問屋で終わってしまいますよ。それでいいんですか」