北東アジアで欧州並みの価格を目指す

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表1 北東アジアのLNG輸入量の推移(2009~11年)

ここで、表1を見ていただきたい。11年のLNG輸入量は日本が7910万トンで、韓国が3560万トン。そのうちスポット取引ないし短期契約による輸入分は日本が1600万トン、韓国が1070万トンで、スポットないし短期契約の比率は日本が20.2%、韓国が30.1%に及ぶ。09年の同比率は日本が9.0%、韓国が9.6%であったから、両国いずれにおいても最近、スポット取引ないし短期契約によるLNG輸入のウエートが急速に高まっていることがわかる。同様の傾向は、日本や韓国に比べればまだ輸入量は少ないが最近になってLNG輸入を急拡大している台湾や中国についても、確認できる。

今年の1月、韓国を訪れ、アジアLNGハブ(ALH)社のLNGターミナル建設予定地を見学する機会があった。釜山新港近くの約225ヘクタールの土地(釜山・鎮海経済自由特別区内の熊東第1地区)に、20万立方メートルのLNGタンクを最終的には17~18基建設することをめざすという。計画通りに建設が進めば、最終的な年間取扱量は1700万トンに達するそうだ。

写真1 アジアLNGハブ社のターミナル建設予定地

韓国企業であるALH社のねらいは、日韓提携により北東アジアにLNGスポット市場を創設することにある。それは、日本の経済産業省が志向するLNG先物市場の開設とも、方向性が合致する。

ALH社のLNGハブターミナル構想に期待が高まるのは、世界の天然ガス市場において厳然と存在する「アジアプレミアム問題」を解決するきっかけとなる可能性をもつからである。同社によれば、LNG輸入大国である日本と韓国が手を携えてバイイングパワーを発揮し、北東アジアにLNGスポット市場を創設すれば、「アジアプレミアム問題」は解消に向かう。そのためには、LNGハブターミナルが必要であり、ALH社は、それを建設しようというのである。