NHK連続テレビ小説「ばけばけ」のモデル、小泉セツとハーンは島根県松江で出会った。歴史評論家の香原斗志さんは「松江は県庁所在地としては珍しく、第二次世界大戦の空襲にほとんど遭わなかった。このため、今訪れても小泉夫妻の足跡をしっかりとたどることができる」という――。
セツとハーンが松江ですごした9カ月
NHK連続テレビ小説「ばけばけ」の主役2人のモデル、小泉セツとラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)が、松江(島根県松江市)ですごした期間は意外と短い。
ハーンが松江に着いたのは明治23年(1890)8月31日。その後、セツがハーンの住む借家に住み込みで働くようになったのは、翌明治24年(1891)2月上旬ごろとされる。6月22日に松江城北側の内堀(北堀)に面した武家屋敷(現小泉八雲旧居)に2人で引っ越し、事実上の夫婦生活をはじめるが、その後、ハーンが熊本の第五高等中学校に転任になり、11月15日に転居した。
「ばけばけ」では、松野トキ(髙石あかり)がレフカダ・ヘブン(トミー・バストゥ)のもとで女中として働きはじめたのは、明治23年の秋ごろだから、そこから熊本に行くまで約1年あるが、史実のセツとハーンの場合、出会ってから9カ月にすぎなかった。
以後、松江に住むことはなかった2人だが、セツが生まれ育ち、じつの父母や養父母が浮沈しては振り回されたのは松江であり、挫折したのも怪談に親しんだのも松江だった。ハーンも日本に着いたのは4月4日だが、本格的に職を得たのは松江が最初で、のちの小泉八雲の活動の基礎が形成されたのも松江だった。そしてなにより、2人の生活は松江からはじまった。
そこで、セツとハーンを感じるための松江案内を以下に記したい。松江は県庁所在地としては珍しく、第二次世界大戦の空襲にほとんど遭わずに済んだ。このため、歴史上の人物の足跡をかなりしっかりたどることができ、その点で、全国でも有数の都市だといえる。

