上手く話す必要はまったくない
AIが文章を整えてくれる時代だからこそ、面接での違和感はより目立つようになりました。
どれだけ言葉が綺麗に並んでいても、そこに人となり、その人らしさがなければ、選ばれにくいのです。採用面接官が知りたいのは「どれだけ上手く話せるか」ではなく、「どんな経験をして、どう考え、どう成長してきた人なのか」というその人の歩みなのです。
では、AI時代の面接で本当に評価されるのは、どんな話し方なのでしょうか?
ポイントは、驚くほどシンプルです。
① 抽象語を封印して、行動レベルで語る
まずは「価値提供」「多角的」「本質的」などの概念語を使わないことです。
これらは便利ですが、具体的に何をした人なのかが伝わらなくなるという欠点があります。
代わりに、実際の行動に置き換えることです。たとえばSNSの運用業務をしていた人であれば、
→ 「InstagramとYouTubeに週3本投稿した」
「価値向上に寄与した」
→ 「フォロワーからお礼のDMが10件届いた」
のように抽象的な表現を使わなくても、行動を言えば伝わります。なにを努力し、どんな人なのかを伝えようとするなら、具体的な行動は絶対に盛り込んでください。
「自分しか言えない言葉」を探すべき
② 感情を一つだけ必ず入れる
AI文章に決定的に欠けているもの──それが感情です。
人は行動の理由より、そこに乗った感情に心を動かされます。
・「悔しかった」
・「怖かった」
こうした短い一言があるだけで、一気に自分らしさが伝わる話になります。
感情を盛る必要はありません。たった一つの感情が、面接官との距離を一気に縮めます。
③ 過去→現在→未来の順で語る
これは私が提唱している共感ストーリー(自分の経験と熱い思いを語ることで選ばれるというプレゼン手法)の基本構成でもあります。
・どう工夫し、何を学んだのか(現在)
・この会社でどう活かすのか(未来)
この流れさえ押さえれば、難しい言葉は一切必要ありません。むしろ、難しい言葉は邪魔になります。
面接官が知りたいのは、完璧に整った文章ではなく、自分の言葉で話そうとしている「その人自身のこと」です。たった一つの体験から出てきた素直なひと言は、どれだけ立派な表現を並べるより、ずっと心に届きます。
AIが活躍する今の時代だからこそ、最後に評価されるのは、「その人にしか言えない言葉」を持っている人なのです。

