蔦重の財産が半分になったワケ
それを考えるためにも、最初に身上半減の件につい見ておきたい。取り締りの対象になったのは、京伝が挿絵もみずから描いた『仕懸文庫』『錦之浦』『娼妓絹籭』の洒落本3冊。前年の寛政2年(1790)に町触れが出されたのが災いした。
井上祐貴演じる松平定信が老中首座になって以来、「べらぼう」では出版の自由が失われていく様子が描かれていた。ご政道をからかった黄表紙(大人向けの挿絵入り物語)を書いた責任を問われ、朋誠堂喜三二(尾美としのり)は筆を折り、恋川春町(岡山天音)は自殺した。とはいえ、出版への統制は定信がはじめたわけではなかった。
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