蔦重の財産が半分になったワケ
それを考えるためにも、最初に身上半減の件につい見ておきたい。取り締りの対象になったのは、京伝が挿絵もみずから描いた『仕懸文庫』『錦之浦』『娼妓絹籭』の洒落本3冊。前年の寛政2年(1790)に町触れが出されたのが災いした。
井上祐貴演じる松平定信が老中首座になって以来、「べらぼう」では出版の自由が失われていく様子が描かれていた。ご政道をからかった黄表紙(大人向けの挿絵入り物語)を書いた責任を問われ、朋誠堂喜三二(尾美としのり)は筆を折り、恋川春町(岡山天音)は自殺した。とはいえ、出版への統制は定信がはじめたわけではなかった。
『江戸花京橋名取 山東京伝像』鳲鳩斎栄里(鳥橋斎栄里)筆(18世紀)(写真=project by the Metropolitan Museum of Art/CC-Zero/Wikimedia Commons)
8代将軍吉宗のもとで享保7年(1722)、奉行所が出した町触で、好色本は徐々に絶版にするように命じられていた。だが、年月とともに有名無実化していたが、寛政2年5月、これを増補するかたちであらためて町触れが出された。
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